「ゴルフグリップ AtoZ」Vol.1

2017年8月23日 更新

  • グリップ特集

    株式会社STM

    星型の出っ張りと豊富なカラーバリエーションで人気の「STMグリップ」。異硬度2層構造と呼ばれる特許技術で業界を驚かせた、新感覚グリップの製造現場を訪ね、製造工程からグリップの選び方、グリップフィッティングのことまで、その全てをお聞きしました!

  • 「ゴルフグリップ AtoZ」Vol.1
  • 「グリップ」とは、プレーヤーが直接手に触れる部分でもあり、もしシャフトにグリップが無ければ、ボールを正しく打つことができません。そんな重要なパーツでありながら、案外軽視されがちです。特にゴルフクラブでは、重要な意味を持つパーツなので、ウッド系やアイアン系、パター用グリップなど、様々な機能を備えたグリップが数多く販売されています。その数あるグリップを実際に握ってみて、サイズ感やフィット感を大切にし、お使いのヘッドやシャフトのパフォーマンスを十分に発揮することが出来る、ご自身に合った「グリップ」を選んでみてください。そうすることで、これからのゴルフのレベルアップの近道にもなるので、ヘッドやシャフト選びと同じように「グリップ」選びにも注目してみてください。
    今回は、異硬度2層構造の新感覚グリップを世に送り出す「株式会社STM」の中村成守さんに、グリップについて詳しく教えていただきました。
  • 常務取締役 中村 成守(なかむら しげもり)さん

    株式会社STM
    常務取締役 中村 成守(なかむら しげもり)さん

    日本プロゴルフ協会会員・グリップマスター

    ゴルフクラブの「グリップ」は、ショットする際に唯一、ゴルファーの身体に直接接触するパーツです。決して、握れさえすれば良いと言ったものでは無いので、色々試された上で、ご自身に合うグリップを探してみてはいかがでしょうか。ゴルフクラブの「グリップ」が持つ機能や役割、滑りにくさ・ねじれの抑制・フィット感・耐久性といった“グリップ力”を大切にして、グリップ選びをしてみてください。

グリップについて

グリップの構造と機能性について

  • グリップの構造と機能性について
    一般的なグリップは、1層の本体にエンドキャップを装着した2ピース構造(1重構造)のものと、より機能的で、優れたフィット感とトルク(ねじれ)を抑えた2層の本体に、エンドキャップを装着した3ピース構造(2重構造)の2タイプあります。2ピース構造(1重構造)は、グリップ本体の硬さが一定のものしか製造できず、グリップの上から下まで同じ硬さの素材の厚みだけでフィット感を調整します。ですから、薄肉部分はトルクを抑えられるのですが、厚肉部分ではねじれが発生してしまいます。ただし、全体的に柔らかいフィット感が出せるので、シンプルで握りやすいのが特徴です。一方の3ピース構造(2重構造)は、本体内側の硬い素材の上に軟らかい素材を重ねることにより、柔らかいフィット感はそのままに、トルクを抑えることが可能です。さらに、3ピース構造(2重構造)の中には、1層目の硬い素材の上に2層目の軟らかい素材を全面に重ねたタイプと、1層目の硬い素材の上に2層目の軟らかい素材を混合させたタイプがあり、どちらも柔らかいフィット感とねじれ抑制といった、相反する性質を高いレベルで融合させたグリップとなります。言うなれば、2ピース構造(1重構造)の欠点を補うために開発されたのが、3ピース構造(2重構造)です。
    ちなみに、ラバーグリップの場合、コードを仕込むことでねじれを抑え、グリップの機能を高めています。コードが滑り止めと思っている方も多いのですが、本来の目的はトルクの抑制ということです。コードが無い部分はラバーだけなので、柔らかくフィット感に優れているのが特徴です。

グリップの素材と特徴

  • グリップの素材と特徴
    左/樹脂系グリップ、右/ゴム系グリップ
    グリップには、大きく分けて主原料が天然ゴムのゴム系と、エラストマーの樹脂系の2タイプあります。2つの素材を比較して、最も大きな違いは発色の違いです。ゴム系グリップは、製法や素材の性質上キレイな色目を出すことができないのに対し、樹脂系グリップは、光沢のある色目が出しやすいのが特徴です。最近のツアーでも、色鮮やかなグリップを使用するプロが増えてきていますが、それらは全て樹脂系グリップなのです。
    ゴム系グリップの特徴は、水が染み込む性質があり、少々の雨や汗程度なら、グリップ表面に水分の影響を受けにくいため、結果として滑りにくくなります。ただし、一度グリップ表面に水が浮いてしまうと乾きにくく、滑りやすい状態が続く傾向にあります。一方の樹脂系グリップは、プラスティック素材なので水が染み込まず、雨や汗がグリップ表面に付着して滑りやすくなりますが、乾いたタオルでグリップや手を拭きさえすれば、表面の水気が完全に無くなるので、元通りの高いパフォーマンスを発揮することができます。
    劣化についてですが、ゴム系グリップは、使い始めのフィット感が長続きせず、どうしても車のタイヤと同じように、表面が硬くなってテカったりひび割れを起こしたりします。樹脂系グリップは、エラストマー素材の性質上、ゴム系グリップと比較して圧倒的に劣化に強いのが特徴のひとつです。通常のゴムと樹脂の性質を比較した場合、樹脂の方が様々な材料の配合により、グリップに求められる“特殊な方向性”を創り出すことができます。それは、しっとりと手に吸い付くようなフィット感です。この特徴は樹脂特有のもので、グリップを握った時にベタベタしてるのとは別の密着感があります。乾いた環境で様々な高いパフォーマンスを持ったグリップを創り出せるのが、樹脂素材の大きな魅力です。
    男子ツアーなどでは、ゴム系グリップの使用率が高く、手汗などにも相性が良いと言えるかもしれませんが、あまり手汗をかかないゴルファーには、樹脂系グリップの方がメリットを体感できるのではないでしょうか。

グリップの口径

  • グリップの口径
    グリップのサイズでは、58口径・60口径・62口径などをよく見たり聞いたりするかと思いますが、その口径とはグリップの内径を意味します。58・60・62などの数値は、それぞれのグリップの内径が0.58インチ・0.60インチ・0.62インチを表します。グリップは、シャフトの手元側に装着するので、シャフトのバット径に合わせた上でのグリップの内径ということになります。グリップの外径そのものは、さほど違いがなく、内径が大きければグリップの厚みが薄くなり、内径が小さければその分グリップの厚さが増します。ちなみに最近では、メーカーのほとんどが60口径(15.24mm)を採用しています。もちろん58口径と62口径では、62口径の方が薄肉なので、ねじれが抑えられたグリップになります。また、シャフトには様々な太さのものがあり、近年シャフト(スチール・カーボン)の軽量化が進み、シャフトの構造上バット径が太いものが多く出まわっています。
    グリップの口径の見方これまでのレディース用グリップや58口径、さらには60口径のグリップでさえ、装着できないシャフトも珍しくありません。
  • グリップの口径
    これまでのレディース用グリップや58口径、さらには60口径のグリップでさえ、装着できないシャフトも珍しくありません。
    そもそもグリップのサイズは、シャフトのバット径に合わせたサイズであって、決して、58だとグリップが太くなり、62だと細くなる、といったような目的のものではありません。シャフトに装着した結果として、グリップの外径が太くなったり細くなったりはしますが、本来のグリップが持つ性能を発揮するには、適正なサイズのグリップを装着することをおすすめします。

グリップの重量とクラブバランス

  • グリップの重量とクラブバランス
    クラブバランスとは、スイングした時に感じるヘッドの重量感を数値化したものです。バランスの測定には14インチバランス測定法を用い、ショップなどで簡単に計測することができます。バランスが軽い順にA~E、さらにA~Eのそれぞれ軽い順に0~9を振り分けた表示となります。 グリップの重量については、実際に装着されているグリップの多くが50g台ですが、近年のクラブの軽量化に合わせて、グリップも軽量化が進んでいます。近年の傾向としては、クラブの重量を下げることで、シニアゴルファーのパフォーマンスを高めようとしています。ヘッドとシャフトが軽量化されると、必然的にグリップも軽量化する必要があり、軽量なものでは28gのグリップも出てきています。一般的に重いグリップを装着する(手元側を重くする)と、スイングした時にヘッドが軽く感じ、軽いグリップを装着する(手元側を軽くする)と、反対にヘッドが重く感じると言われています。
  • グリップの重量とクラブバランス
    例えば、50gのグリップから46gのグリップに交換したとすると、バランス測定値が約2ポイント(2gで1ポイント)変動し、D2だったバランスがD0になってヘッドが軽く感じるということになります。ですから、極端に軽い20g台のグリップから50g台のグリップ交換したり、80g台の重たいグリップから50g台のグリップに交換したりすると、極端にクラブバランスが変わることになるので避けた方が良いでしょう。ただし、クラブバランスというものは、あくまでも14インチバランス測定法のクラブを握っていない状態でのバランスを示すものなので、ゴルフクラブの基本的な機能性に大きな影響を与えるものではありません。なぜなら、グリップとの接点から先の部分、握って固定している部分から先に関しては、重量配分が変化していないので、シャフトのしなりや振動数といったクラブの機能性は変わらないということです。実際にクラブを握ってスイングする上では、数グラム程度のグリップ重量の違いであれば全く気にする必要もなく、違いを感じることの方が難しいとも言えるでしょう。
  • クラブバランスの表記の仕方

    計算式 :
    重心から支点までの長さ(インチ) × 
    クラブの重さ(オンス)

    上の計算式の数字が「213.5」になったときを「D0」と表記します。この数値が「1.75」増減するごとに1ポイント、表記が変わります。「D0」を基準に、「E9」方向に振れるとヘッドが重く感じ、「A0」方向に振れるほどヘッドが軽く感じます。

    C5C6C7C8C9D0D1D2D3D4D5
    204.75206.5208.25210211.75213.5215.25217218.75220.5222.25
    1.75減1.75増

    ※表示はA~Eまであり、それぞれ0~9で表します。

グリップの硬さについて

  • グリップの硬さについて
    注)実際は平らなシート状のもので計測します。
    グリップの硬さを計測するのには、工業用の硬度計を使って、ビッカース硬度で示します。一般的なグリップの硬さはビッカース硬度47~48ですが、最も軟らかいものでビッカース硬度40以上あり、硬めのものではビッカース硬度50以上になります。
    硬いグリップの特徴は、ねじれの発生は少ないのですが、硬さのせいで滑りやすく感じます。一方、軟らかいグリップは、ねじれは発生しますが、柔らかくフィット感が良いので滑りにくく感じるのが特徴です。硬いグリップと軟らかいグリップ両方のバランスが取れているのが、一般的なグリップの硬度50前後という訳です。
    グリップを選ぶ際に、一般のショップではピッカーズ硬度を測ることは難しいのですが、選ぶ基準としてグリップを握ってみて、握った時に指がくい込む感覚があるのが軟らかいグリップで、指がくい込まないのが硬いグリップです。もしも軟らかいタイプの細めのグリップを使った場合、ソフトなフィット感で指がくい込む分、よりグリップが細く感じ、握りにくくなるでしょう。そのことからも、軟らかいグリップが好きな方は、太めのグリップをおすすめします。

グリップのバックライン

  • グリップのバックライン
    左/バックライン無し、右/バックライン有り
    元々グリップにはバックラインが無く、全てのグリップはラウンド形状でした。バックライン有りのグリップが世に出てきたのは、日本人特有の「指の引っ掛かりを出した方がグリップが安定する」という考えから生まれました。今でも海外では、バックライン無しのグリップの需要が圧倒的に多いのが現実です。もともと海外のゴルファーには、バックラインの認識が薄いので、バックライン有りのグリップを使う割合が非常に少ないのです。それに対し、日本のプロやアマチュアゴルファーにバックライン有りのグリップの使用者が多いのは、日本のゴルフメーカーが純正グリップにバックライン有りのグリップを標準装着したのが理由です。バックライン有りのグリップが標準装着されたことで、それが当たり前になりました。比率で言うと、バックライン有りが95%に対し無しが5%の割合、厳密に言うと、もっとバックラインのあるグリップが多いのかもしれません。外国人のツアープロでも、日本で永くプレーしている選手は、バックライン有りのグリップを使用する場合が多いです。
  • グリップのバックライン
    日本のプロの中でも、バックライン無しのグリップを好まれる選手も少なくはないのですが、明らかにバックライン有りのグリップの方が、フェースの向きを意識しやすいのは事実です。ただし、ウェッジなどのグリップに関しては、フェースを開いたり閉じたりして打つことも必要なので、好みが分かれています。特に、最近のドライバーなどのクラブには、弾道調整機能が付いたモデルが多いので、バックライン無しのグリップを使われる方が多くなっています。 基本的には、バックライン有りのグリップの方が装着すると太くなるので、弾道調整機能が付いたモデルを除いては、握りやすく感じ、振り抜きやすくなるでしょう。ちなみに、ルール上グリップは、円型でないといけないのですが、バックラインは、構造上内側に仕込まれているのでルールに適合しています。