世界中のインディーゲームを楽しめる『PLAYISM』って?アクティブゲーミングメディアインタビュー(1)

2017/08/07

WRITERインタビュー:Zing!編集部・ピーター/インタビュー・テキスト:トライアウト・堀家千晶/撮影:佐伯亜由美

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世界中のインディーゲームを楽しめる『PLAYISM』って?アクティブゲーミングメディアインタビュー(1)

みなさんは「インディーゲーム」ってご存知ですか? 個人や小規模の開発チーム、同人サークルなどで作られたゲームで、Webサイトでのダウンロード販売が主流です。
言葉や文化の壁を越えて、優れたコンテンツを日本から世界へ、世界から日本へと広げるべく、ローカライズ(※)事業を展開する株式会社アクティブゲーミングメディア(以下AGM)。同社は2011年に「PLAYISM」を立ち上げ、面白いインディーゲームを世界に発信しています。
今回はAGMの「PLAYISM」チームの核となる、水谷俊次さん(写真左)と山中琢さん(写真右)に、「PLAYISM」についてはもちろん、インディーゲームの魅力やローカライズの難しさ、面白さについてお話しいただきました。
後半では、海外向けのPRを担当するメガン・ブリジェスさんと、ローカライズのマネジメントを行うヒューゴ・クラークさんにもご参加いただき、海外と日本のゲームの特徴にも迫ります!

※ある国で作られた製品やサービスを、別の国や地域で販売する際、その国の言語・法令・慣習に合うように製品を修正・改訂すること。


ちょっと変なゲーム、尖ったゲームを世の中に紹介したい

PLAYISM

――まずは「PLAYISM」の概要を教えてください。そもそも「PLAYISM」を立ち上げたきっかけは?

「PLAYISM」はインディーゲームの販売サイトです。立ち上げは2011年の5月。当時はスマホのソーシャルゲームが盛り上がってきたころで、コンシューマーゲームの人気が下火になってきた印象でした。そのせいか大手のゲーム会社は、リメイクものやシリーズものなど確実にヒットする作品を作るようになり、僕が好きだった「ちょっと変なゲーム」や「尖ったゲーム」が少なくなってしまいました。ちょうどそんな時に、海外のインディーゲームから、技術的にもストーリー的にも面白いゲームが出てきたんです。AGMはローカライズと広告宣伝ができるので、海外の面白いインディーゲームを日本に紹介し、世の中に広げたいと思ったのが「PLAYISM」立ち上げのきっかけです。
とはいえ、ゲームの販売やBtoCビジネスについてはまったくの素人だったのでノウハウも人脈もなく、最初は本当に手探りでした。まずは「PLAYISM」の認知度を上げるために、国内外でトップクラスの尖ったゲームを集めようと考えました。最初に手掛けたのは「Samorost」などのFlashゲーム作品で知られるチェコの「Amanita Design」が開発した「マシナリウム」のローカライズです。このゲームのビジュアルはデザイナーが絵に味を出すために利き手ではない左手で描いたもので、インディーゲームでなければそんな時間のかかることはできませんよね。こういった感性が豊かでこだわりの強いクリエイターたちと仕事ができるのは、とても刺激的で幸福なことだと思います。

マシナリウム画面

マシナリウム
全編がほぼすべてアニメーションで展開していくクリックポイントアドベンチャー作品。さびついた金属をテーマにしたスチームパンクな世界観でありながら、温かみが感じられる独特の画風が特徴。既存のゲームという枠組みを押し広げたアート性の高い作品。

サイト開設の翌年からは、海外→日本のローカライズだけでなく、日本のインディーゲームを多言語展開して、海外向けに発信するようになりました。最近ではローカライズしたゲームを「PLAYISM」で販売するだけでなく、海外サイト「Steam」での販売や、PS4®版、Xbox One版などへの展開も行っています。

ゲームの「コンセプト」や「ニュアンス」は変えずに「ローカライズ」

――海外のインディーゲームのローカライズには、どのくらいの時間がかかるのですか?

文字数の多いテキストベースのゲームは、半年~1年以上かかる場合もあります。基本的には日本語訳を作成してゲームに組み込んでいきます。しかし単純に英語を日本語に置き換えただけでは、文字があふれてしまうこともありますし、なんとなく印象が変わってしまう場合もあります。縦書き・横書きや使用フォント、改行位置など細かい調整を行っていくので、結構時間がかかります。例えば原語がロシアなまりの英語で作られているゲームの時は、その日本語訳を最初はカタコトにしたり、方言にしたりしたのですが、しっくりこなくて最終的に標準語に戻したこともあります。ギャグを翻訳するのも難しいですね。おやじギャグなのか、ウィットに富んだジョークなのか、その度合いも表現しないといけないですし、直訳だと伝わらない部分を調整する必要もあります。

――単純に言語を置き換えるのではなく、そのゲームの「印象」をローカライズするというのは、かなり難しい気がします。

世界中のインディーゲームを楽しめる『PLAYISM』って?アクティブゲーミングメディアインタビュー(1)-画像-03

そうですね。最終的には僕たちの好みで決めます(笑)。……が、実はその「印象」が一番大事だと思っているんです。AGMには「BOUNDLESS ENTERTAINMENT」というスローガンがあって、これは「人種も国境も越えて、面白いものは面白いのではないか」という考え方に基づいています。だから、ローカライズで何かを変えることは、実はできるだけしたくないんです。細部ではなく、ゲーム全体のコンセプトやニュアンスをいかにそのまま伝えるか。ローカライズではそこを重視しています。

「新規性」こそインディーゲームの魅力

――「PLAYISM」の人気タイトルを教えてください。

海外作品だと「PAPERS, PLEASE」。アメリカ人のLUCAS POPEさんが作ったゲームで、2014年のインディーズゲームの祭典「Independent Games Festival」で最優秀賞を受賞した作品です。「入国審査」をゲームにするという着眼点が素晴らしいですよね。

PAPERS, PLEASE

PAPERS, PLEASE
共産主義国アルストツカの入国審査官となり、入国希望者が提出する書類を規則書と照らし合わせてチェックする間違い探しゲーム。入国希望者を通すか通さないかは、プレイヤーに委ねられており、その選択によって複雑に分岐するストーリー性の高さも魅力の異色のパズルアドベンチャー。

最近では「MOMODORA:月下のレクイエム」も好評です。元々はブラジルの青年が作ったゲームですが、日本製と間違われるほど、日本のゲームに影響を受けた作品です。日本のフリーゲーム「洞窟物語」が世界中でヒットして、「2Dアクションゲームが面白い」と話題になり、世界中でこういうゲームが作られるようになったんです。

MOMODORA:月下のレクイエム

MOMODORA:月下のレクイエム
呪いに侵されようとしている村を救うため、主人公が旅に出る2D探索型アクションゲーム。美しいドットアニメーションと壮大な世界観、ハードコアなアクションが人気。現在までにシリーズ4作が発表されている。4作目はPS4®とXbox Oneでもリリース。

日本製の作品では「片道勇者(片道勇者プラス)」ですね。画面の左側から闇が迫ってくるので、右に強制スクロールしながら魔王を倒すという作品です。これは僕たちがたまたま見つけて「英語版を作りましょう!」と持ちかけた作品です。「ローグライク」というゲームジャンル自体の人気と、これまでにない強制横スクロール設定がウケて、累計ダウンロード数20万以上というヒット作になりました。

片道勇者プラス画面

片道勇者プラス
ウルフエディターやシルフェイドシリーズで知られるSmokingWOLFさんが、開発13周年を記念し開発したフリーゲーム。プレイヤーが一歩移動したり攻撃したりすると、敵も1ターン行動する「ローグライク」と呼ばれる形式のゲームに「横スクロール」という概念を持ち込み、新しいゲーム性を生み出した。

「PLAYISM」で取り扱うゲームを選ぶ基準は、今までにないエンタメ性があるかないか。その意味では3作とも、まったく新しいゲームだと思います。こういうゲームをどんどん紹介していきたいですね。

・「PS4」は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標または商標です。
・「Xbox One」は米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。

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