西島大介・吉田隆一による、アニメ「ビックリマン」OP・EDジャズ風カバー動画を公開

2017/12/06

WRITERテキスト:トライアウト・福井英明/映像:ドマーニ・水口伸哉/撮影:トライアウト・佐野将宏

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西島大介・吉田隆一による、アニメ「ビックリマン」OP・EDジャズ風カバー動画を公開

Zing! で泉信行さんの連載「私たちの気付かない漫画のこと」のイラストを担当されている西島大介さんと、「視れば揺らぐこの宇宙」を連載されている吉田隆一さん。西島さんの音楽家活動「DJまほうつかい」のライブでは、吉田さんがバリトンサックスで参加し、吉田さんのフリージャズバンド「blacksheep」の2枚のアルバムジャケットを西島さんが担当されているなど、つながりの深いお二人。今回、ビックリマン40周年トリビュート企画「Zing!リマン」の一環として1987年から1989年まで放送されていたアニメ「ビックリマン」のオープニングテーマ「ドリーミング・A・Go-Go」とエンディングテーマ「スーパーウォーズ」を独特なアレンジで演奏していただいた動画を公開。タケカワユキヒデさん作曲による、今聴いてもかっこいいあの曲が、お二人の手でジャズ的に、ポスト・クラシカル的にアレンジされています。その他にもモノクロの映像美、「スーパーウォーズ」でのデスボイスに悪魔風メイク……見どころが満載です! 西島さん・吉田さんの解説や「ビックリマン」への思いと合わせてぜひお楽しみください。「ビックリマン」に関わるみなさま、ご快諾・ご協力ありがとうございました。40周年おめでとうございます。

ドリーミング・A・Go-Go

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アニメ「ビックリマン」オープニング動画(公式)を観る

▲原曲は【公式】ビックリマン第1話「天聖界があぶないぞ」動画の0:12~1:11(東映アニメーション創立60周年公式YouTubeチャンネルより)。ぜひ聴き比べてみてください!

――「ドリーミング・A・Go-Go」は少し明るめの空間で真っ白な衣装のお二人が演奏されています。曲調も含め「天使」の世界観を表現されているんですよね?

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西島大介(以下、西島):用意していたアレンジがスタジオではやや暗く響いたので、その場でもっと明るく『天使的』なアレンジに変更しました。1テイクでOKとして、ミスタッチや変な間も残しています。そんな僕に、フリージャズ出身の隆一さんがうまく合わせてくれたんだなと。ボサノバ的なフルートに、子供の練習曲のようなピアノ、そしてポエトリーという不思議な音楽ですね。

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吉田隆一(以下、吉田):基本的なアレンジは全面的に西島くんに任せ、私は即興で演奏しました。これはジャズ的なやり方です。最初はバスフルートで録音しましたが、その直後に西島くんが即興的に思いついたアレンジが面白く、「それなら普通のフルートが合うだろう」と思い、フルートで録音しました。

西島:原曲の「ドリーミング・A・Go-Go」では最後に「ゴーゴー」と叫んで「次界」へと飛んでいくけど、僕のアレンジでは「ゴーゴー」せず、ずっと夢の中にいる設定。生声は後から被せていますが、それが多層化し、夢の中から出られない……。

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吉田:バスフルートではアドリブソロを多めに演奏したのですが、採用テイクのアレンジだとソロは必要ないかも。リズムのちょっとしたズラし方などを楽しんでもらえれば幸いです。

スーパーウォーズ

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アニメ「ビックリマン」エンディング動画(公式)を観る

▲原曲は【公式】ビックリマン第1話「天聖界があぶないぞ」動画の11:39~(東映アニメーション創立60周年公式YouTubeチャンネルより)。ぜひ聴き比べてみてください!

――「スーパー・ウォーズ」は一転して、漆黒の空間にキーライトの強い光が差し込むコントラストの効いた世界ですね。黒の衣装とメイクで曲の「悪魔」の世界観を表現されたんですよね?

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西島:原曲よりも暗めの調に変え、コードは2つ。デスボイスはサポートで「jailbird Y」というバンドのanndoeくんに参加してもらいました。隆一さんは「変な音」を出しまくるバリトンサックス奏者だけど、不気味な呼吸や野犬ぽいうめき声はほとんどanndoeくん。

吉田:基本的には「ドリーミング・A・Go-Go」と同様のやり方ですが、差異を明確にするためにサックスソロを聴かせる方針でやってみました。また、ちょっとだけアブストラクトな(不気味な、ホラーっぽい)雰囲気をかもし出すよう意識しました。ソロからの戻りなど、西島くんと息が合うのは二人で長い時間ライブをやってきたおかげです。今では特に意識しなくても互いの音と動作から読み取れます。anndoeくんのヴォイス、とても効果的ですよね。

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西島:曲の二周目をピアノとサックスの輪唱にしたのは隆一さんの提案。隆一さんのソロ演奏が聴きどころで、よく聴くと「サックスのキーをカサカサ鳴らす音」まで拾っていますが、まるで何かの儀式のようにも聞こえるし、良いアクセントになっていると思います。録音前は「魔肖ネロmix」(※)と呼んでいました(笑)。

※魔肖ネロ:ビックリマンの「悪魔vs天使シリーズ」第8弾に登場するシールおよびキャラクター正体である「ネロ魔身」と並んで人気の高いシール。ピエロのような見た目だが、とにかく強く恐ろしい。アニメ版では、スーパーゼウスの機転の効いた戦い方にシビれた少年少女は多かった(はず)。

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原曲とは真逆のアプローチ

――今回の企画を受けて、最初にどんなことを感じられましたか?

西島:企画を知らされた時、まずマンガを描くものだと思って。ひらめいたのは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のように、シールの裏面に書かれた物語の断片を頼りに、天使、悪魔、お守りが混じり合って現代を舞台に戦う、そんな短編。僕は2001年に大塚英志さんの『定本・物語消費論』の文庫カバーを描いたことがあって、あの本は「ビックリマン」を例に物語の新しいあり方を描いた本でした。でも「絵ではなく音楽」「DJまほうつかい」という依頼は意外で……。

吉田:申し訳ないことに私は「ビックリマン」をあまり知らなかったのですが、自分の専門分野である音楽を通して「ついにあの巨大なコンテンツに入門する機会が訪れた! これは面白い!」と率直に思いました。

西島:アニメ「ビックリマン」の主題歌は時代ごとに変わるけど、この2曲は曲調がファンクで、黒人音楽的な「タメ」があり、シンプル。作曲者のタケカワユキヒデさんのゴダイゴは大好きなバンドですし、ゴダイゴ40周年記念のコンサートもエネルギッシュで最高でした。カバーできることはとても光栄です。原曲がデジタル的でゴージャスなアレンジなので、その真逆のアプローチとして2曲とも、ピアノとサックスのシンプルな生演奏でカバーしようと考えました。

多感な時期の「3歳差」は大きい

――西島さんはビックリマン好きで、吉田さんはビックリマンをあまりご存じないということですね。対照的なお二人がコラボしたことで生まれた「面白さ」や「視点」などはありますでしょうか。

吉田:西島くんと私は3歳しか違わないのでほぼ同世代なのですが、ビックリマンの「悪魔VS天使シリーズ」は、私が中学生で西島くんが小学生の時期にブレイクしたコンテンツでした。大人になってから「同世代」と思う年の差くらいでも、コンテンツの種類によっては受容の仕方に大きな差異が生まれることを改めて実感しました。多感な時期の「3歳差」って、やはり大きいものだったんですね。

西島:隆一さんが「ビックリマンの思い出が特にない」とのことだったので、相談して僕がリーダーとしてアレンジやコンセプトを担当することになりました。隆一さんいわく「2頭身でリアル顔は苦手」。僕の絵もかなり2頭身なんですけど……(笑)。

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魅力的な「世界観の奥行き」

――完成したビデオを見られてどのように感じられましたか?

吉田:「ドリーミング・A・Go-Go」は「大人のいかがわしい明るさ」といった印象ですね。ビックリマンを楽しんだ子供が、心の内側にそれを大事に秘めて大人になったような。私の中に「子供のころに受け取ったビックリマンマインド」はないのですが、映像からは不思議とそれが感じられて、面白かったです。

西島:白いスーツ、着慣れていない(笑)。

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吉田:「スーパーウォーズ」はさっきの話と逆で、子供の世界観を保ったまま大人の音楽をやっているような印象を受けました。音楽のスピード感と映像のスピード感がシンクロしていて良いですね。ここで言う「スピード感」というのは、曲の「テンポ」とは異なる話です。

西島:悪魔メイク、実は元・相対性理論でVMOやVampillia、新バンド「集団行動」で活躍する真部脩一さんが担当してくれています。音楽家・真部さんの贅沢な使い方(笑)。
隆一さんは白塗りメイクだけど真顔です。口元のアップは、僕ではなくてデスボイスのanndoeくん。白目が良いし、実は歯並びが綺麗。強い照明が効果的で、ラストは後光が差しているようないい雰囲気ですね。撮影クルーの素晴らしい仕事ぶりに感謝!

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――映像の冒頭に出てくるターンテーブルと人形にもこだわりがあるそうですね。

西島:冒頭で回っているLPレコード、実はラベルを作り込んで貼っています。レコード化できたらいいな(笑)。その上で回っている人形は3Dプリンターでつくった僕の立体作品の試作で「ぼうや」と言います。「スーパーウォーズ」では立体の上からポスカの手描きで悪魔メイクしてます。

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――なるほど。細部にもいろいろなこだわりがあったんですね。お二人にとっても良い思い出になったのではないでしょうか。

西島:ビックリマン40周年、そしてゴダイゴ42周年、おめでとうございます。ロッテさん、Zing! さん、特別な機会を与えてくれてありがとう!

吉田:「ビックリマン」の映像などを改めて見返してみると「なるほど、これは強烈な記憶として残るだろうな」と思いました。直撃世代には魅力的な「世界観の奥行き」だったろうなあ、という。せっかくですので、この「悪魔VS天使」の世界を、後追いですが探らせていただこうと思います!

  • 西島大介
  • Profile

    西島大介

    漫画家。2004年『凹村戦争』でデビュー。『世界の終わりの魔法使い』『すべてがちょっとずつ優しい世界』など作品多数。「月刊IKKI」休刊により未完となった『ディエンビエンフー』が双葉社「月刊アクション」に移籍。完結を目指し『ディエンビエンフー TRUE END』第1巻を2017年8月10日刊行。「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」主任講師も務める。音楽家「DJまほうつかい」としてアルバムを4枚、EPを3枚リリース。
    https://daisukenishijima.jimdo.com/

  • 吉田隆一
  • Profile

    吉田隆一

    1971年、東京生まれ。バリトンサックス奏者。”SF+フリージャズ”トリオ『blacksheep』などで活動。アニメ、SFに造詣が深く、雑誌やミニコミ誌等に論考やレビューを発表している。最新アルバムはblacksheep『+ -Beast-』(VELVETSUN PRODUCTS)
    Ryuichi Yoshida Official Web:http://yoshidaryuichi.com/

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