原宿PARKのイメージキャラ「須藤りと」としゃべる「Google Homeでキャラとしゃべろう」第1回

2018/04/10

WRITER神田川雙陽

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原宿PARKのイメージキャラ「須藤りと」としゃべる「Google Homeでキャラとしゃべろう」第1回

はじめまして、神田川雙陽(かんだがわそうよう)と申します。
「劇団粋雅堂(げきだんすいがどう)」という劇団を主宰する劇作家・舞台音響家ですが、平日はもっぱら某国立大学で人型ロボットの研究をしているロボット工学者です。

この講義……もとい連載では、この企画のために製作したシステムを毎月アップデートしながら、テクノロジーとコミュニケーションの間に挟まった“イマ”を、毎回違った角度で話していこうと思います。

……というわけで、百聞は一見にしかず、まずはそのシステム「テレエモーション(tel-e-motion)」の動画をご覧下さい。

いかがでしたか? これが未来のシステムです!
……え、いまいち新しさを感じない? ありふれたチャットボットじゃないか?
その感想は実にその通りです。私もそう思いますし、「ありもしない機構をあるかのように見せかける必要がないこと」も、じつはこの連載の重要な点です。
順を追って説明しますね。

開発は「ワーク・イン・プログレス」で

最先端のAIスピーカー・Google Home

昨年暮れのある日、Zing!から「最先端のAIスピーカー・Google Homeを使って何か面白いこと出来ませんか? 連載で」と無茶ぶりぎみの球が飛んできました。
いきなり開発? それも単発記事じゃなくて連載で!? と盛大に頭が混乱した結果、「Google Home→声で操作→キャラと対話→デスクトップマスコット!」という(いま振り返ると支離滅裂な)連想ゲームが脳内で高速展開されて、懐かしのデスクトップマスコットを現代の技術でつくるというプランが一気呵成に練り上げられていきました。

首尾よくテンションが上りきり、大まかなコンセプトは決まったのはいいのですが、実際何をどれくらい作るのかはけっこうシビアな問題です。
そもそも「対人コミュニケーション用の汎用システム」なんて月イチ連載でポンポン作れるものではありません。
……となれば取れる戦略はそう多くはないはず。

[1] 出来る限り小さいシステムをまずは作る
[2] 連載の間、そのシステムを発展させてゆく
[3] コミュニケーションをよく観察して、いちばん本質的な要素を見つける

この辺が妥当でしょう。
演劇には「ワーク・イン・プログレス公演」という、作品の制作過程そのものを公開してしまう、ちょっと変わった公演の形式があります。
その言葉を借りて、「ワーク・イン・プログレス」連載という感じでしょうか。

さて、[3]の「コミュニケーションにとって最低限必要な要素は何か?」という問いは現代科学をもってしてもかなりの難問です。
そこで今回は、「キャラクターの絵」と「声」と「制御プログラム」の3つを、最小限の構成要素と考えることにしました。
……となれば「絵」と「声」をどこかから用意しなければいけません。
できればシステムを実際に置ける場所もあるといいのですが。

「会いにいける」2次元キャラクター

「会いにいける」2次元キャラクター

ちょうど同じ頃、東京は原宿にあるPARKというショップに遊びにいったところ、ひょんな会話からかつてのデスクトップマスコットの話になり、それならばと「ショップ店員をするシステム」というプランが爆発的に合成されました。
PARKはアーティストの制作したグッズやアパレルを扱うショップであると同時に、2017年秋クールに放映されたアニメ『URAHARA』のキャラクター原案を担当されており、表現の最先端を実践する場所としてうってつけです!

こうして無茶ぶりと連想ゲームで生まれた夢の新システムは、実際に店舗で接客するシステムとして無事現実に生まれ落ちることになりました。

お店のキャラクター「須藤りと」

このようにショップの経営からアニメキャラ原案、同人誌制作など、クリエイターのプラットフォームとしてさまざまなことに挑戦しているPARK。今回はお店のキャラクター「須藤りと」の姿をお借りして、「声」はシグマセブン所属の声優さんに9時間分に及ぶ音声を吹き込んでもらいました。
よく使う合成音声もいいですが、やっぱり肉声のプレゼンスにはかないません。

シンプルさと「余地」が生むリアリティ

さて、最初の動画は実際作ったシステムをPARKの店内に設置した様子でした。
作ってみてから気づかされたことですが、実物大の2次元キャラクターがプロ声優さんの声でしゃべって動く様は想像以上に強烈に感覚に訴えかけてきます。
大きいだけなら等身大POPとか見慣れていますし、キャラが動いて喋るなんてゲームならもう20年くらい前から当たり前なのですが、それが組み合わさっただけの、けれど強烈なリアリティ。

ご覧のとおり、今回のシステムはごく単純な「人間の発話の理解→返答・リアクション」という最低限のモジュールだけで構成されています。
けれど、人間って案外シンプルなことで心が動いちゃうもので、物語でもこうしたシステムでも、ガチガチに作り込めばいいというものではないのが面白い。
そのシンプルさゆえに「想像の余地」にあふれている今回のシステムも、だからこそのリアリティがあるのでしょう。

2018年4月以降、どこかのタイミングからPARKの実店舗でこのシステムを使った「りと」の接客が始まります。
ぜひ実際に体験してみてほしいです。

最低限のモジュールから初めて、システム的にはより複雑でチャレンジングな方向へ、キャラクターとしてはより「そこにいる」感じや「会話して繋がっている」感じをどこまでも深めてゆく。そんなゴールへと向かってゆくこの連載自体がひとつの「ワーク・イン・プログレス」な演劇公演なんだ! ……っていうのはさすがに批評的ジャンプをしすぎですが、そんなことができたらいいな、と夢を語ったところでちょうどお時間です。

次回は「テレエモーション(tel-e-motion)」のシステムについて、もう少し踏み込んだ技術的な話をします。
それでは今回はここまで。


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  • 神田川 雙陽さん
  • WRITER

    神田川 雙陽[Kamdagawa Souyou/カンダガワ ソウヨウ]

    劇作家・舞台音響家。「劇団粋雅堂」主宰。現在は某大学特任研究員として、人型ロボットと、それを用いた舞台表現の研究・システム開発に従事。開発に携わった『アンドロイド・オルタ』が第20回文化庁メディア芸術祭にて優秀賞を受賞。
    研究・演劇活動の傍ら、「ユリイカ」誌、「Quick Japan」誌等に執筆。情報工学と芸術・メディア論を接続する批評を展開している。
    「月刊水中ニーソR」誌上で小説『水中ニーソドライバー』連載中。
    https://blog.goo.ne.jp/theblueflow

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