2018/05/28

「関西コミティア52」で大阪のミニコミ専門書店シカクが選んだ5冊。魅力をレビュー

「関西コミティア52」で大阪のミニコミ専門書店シカクが選んだ5冊。魅力をレビュー

シカク/スズキナオ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コミティア」から派生し、大阪で年に2回開催されてきた「関西コミティア」。ここ数年1000以上のサークルが出展する関西圏でも最大規模のイベントになっています。

関西コミティアを含むコミティアの特徴の一つが、有名作品の二次創作ではなく、オリジナル作品のみを対象としているところ。近年では関西でも1500ほどのサークルが参加し、それぞれ独創的な作品を発表しています。

今回は、2018年5月20日(日)に開催された「関西コミティア52」に大阪のミニコミ専門書店シカクのスタッフが実際に参加。そこで体感してきたイベントの雰囲気や魅力、購入した掘り出し物の数々をレポートしてみたいと思います!


関西コミティア52

会場のインテックス大阪にやってきました。

関西コミティア52

関西コミティアに入場する際は「ティアズマガジンかんさい」と題されたカタログを一人一冊購入する必要があります。これが入場券替わりになります。

参加サークル名とPRコメント、絵柄のワンカットが掲載されているので、これを読み込むことで自分の好みに近そうなサークルを絞り込むことができます。限られた時間内で効率よく会場内を見てまわるためにも事前にある程度チェックしておきたいところ。私はこの絞り込みに小1時間ぐらいかけました。

広い会場内に参加サークルのブースがずらっと並んでいます。「青年」「少年」「ギャグ」「SF・メカ」という風に大まかなジャンルごとにエリア分けされています。それにしても参加サークルの数がすごい! 今回の「関西コミティア52」には1300以上のサークルが参加していたそうです。

大抵のサークルでは、自分たちの制作物を机に並べて「どうぞお手に取ってみてください!」と声をかけてくれます。慣れないうちはちょっと緊張しましたが、サークルのみなさんは気さくに対応してくれるし、作品に込めた思いや裏話について話してくれたりしました。面と向かって話すことが、自分好みの作品を見つける上でとても重要だと感じました。スーパーの棚に陳列された野菜より、青果店の店主が「この野菜は今が一番美味しいんだよ!」と薦めてくれる野菜の方が美味しそうに感じますよね。それと同じです!

関西コミティア52

とはいえ、 サークルの方と話すのは緊張するという場合は会場内の「見本誌スペース」がおすすめです。このスペースには参加サークルの作品のサンプルがエリアごとに置かれていて、自由に手に取ることができるのです。
大まかな内容をスピーディーに把握したい時には重宝します。

関西コミティア52

さて、「関西コミティア52」でたっぷり時間をかけて選び抜いた「シカク的戦利品」を紹介したいと思います。


千屋通信所『台湾旅行情報2018』

関西コミティア52

展示即売会と聞いて「あれ? マンガじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。「関西コミティア」を含むコミティアのメインはあくまでマンガ作品となっていますが、サークルによって旅行記や評論、イラストやグッズ、CDまで幅広い表現形態が取られているのです。

大手出版社から出ている台湾ガイドブックに本当に必要な情報があまり紹介されていないことに気づいた千屋通信所さん。旅をする上で必要になる超実用的な情報ばかりをコンパクトにまとめたのがこの『台湾旅行情報2018』です。

台湾の交通機関で使用されているICカードの種類、観光バスの路線一覧、スマホを使った場合のデータ通信料など、困った時に役立つ情報が満載です。こういった情報は刻一刻と変わっていくものなので、この本は年に2回、最新の情報に改訂されているとのこと。その姿勢に頭が下がります。

関西コミティア52
また、同サークルでは『台湾自動販売機コレクション』、台湾のお菓子を紹介する『臺灣的點心』などの作品も販売していて、台湾のキッチュな魅力を多面的に紹介していました。

関西コミティア52


マンボウなんでも博物館『マンボウの都市伝説-噂の根源と真偽ver.4-』など

お次はこれ。

関西コミティア52

マンボウなんでも博物館『水族館でマンボウを見るのが楽しくなるマンボウ初心者のための本』、『マンボウの都市伝説-噂の根源と真偽ver.4-』。

サークル「マンボウなんでも博物館」を主宰する海星夏輝さんは相当気合いの入ったマンボウ研究者で、なんと「ウシマンボウ」という種の名付け親なんだとか。マンボウというと、ちょっと前にネット上を騒がせた最弱の生き物というイメージがすっかり定着してしまった感がありますが、それらの情報の中にはデタラメなものがかなり多いとか。

関西コミティア52

海面からジャンプした衝撃で死んでしまうという話が真実ではないこと、一方で自ら水槽の壁に激突して弱ってしまうことは実際よくあるらしいことなど、謎多きマンボウに関してグッと一段階詳しくなることができます。今すぐ水族館にマンボウを見に行きたくなります。


くろ谷はるむ『たのしい魔所めぐり6 in 大阪茨木』

お次はこちら。

関西コミティア52
聞きなれない魔所という言葉ですが、これは、「魔物の住む場所」や「事件がしばしば起こる場所」をさすものです。著者であるマンガ家・くろ谷はるむさんはその言葉に 「150年以上前から伝わる怪しい伝承がある場所」という独自の解釈をつけ加え、町の中にある魔所を探し歩いています。本作には「キリシタン遺物資料館」や、復元された「茨木城」の城門などが登場します。この渋いラインナップ。最高です。

関西コミティア52

くろ谷はるむさんの枯れたスタンスの散歩感覚が落ち着いていて心地よく、魔所という響きとは裏腹に癒されました。


禺吾朗『ビリーヴィ』

次はこれ!

関西コミティア52

イラストレーターの禺吾朗さんによるこの作品は、今回の戦利品の中でもダントツに不思議な感触を持つ本です。タイトルにもなっている「ビリーヴィ」というものに関するパンフレットのような本なのですが、肝心の「ビリーヴィ」が一体何なのかがまったく分からないのです!

関西コミティア52


禺吾朗さん本人によると「ドラッグストアで売られている健康食品の謎めいた感じ」に魅力を感じてつくった本らしいです。そう聞いてみるとなるほど、「どうも体に良いらしい何か」の効能をPRする冊子として読むとしっくりきます。禺吾朗さんのどこかとぼけたタッチのイラストも相まって、なんともミステリアスな一冊でした。

同じく禺吾朗さんの『太陽水』という画集も素晴らしかったです。太古の昔に壁画に描かれたような絵と日本のお茶の間テイストが絶妙に混ざり合っていて魅力的です。

関西コミティア52

ucca buffalo『FOR YOU』

最後はこちら!

関西コミティア52
イラストレーターのucca buffalo(ユッカ・バッファロー)さんによるイラスト集です。まず、目を奪われるのは描かれている女性たちが着ている服のオシャレさ。

関西コミティア52

デザイン性といい、色彩感覚といい、一発で「センスのいい人なんだろうなー!」と感じる雰囲気です。描かれている人の顔の描き方が独特で、どこかちょっと非日常的な空気を感じさせてくれます。
パラパラとめくり終わると、また最初からめくり直したくなり、気づけばずーっと見続けてしまっていた一冊でした。

最後に
いかがだったでしょうか。参加した私自身、会場に入ってからしばらくの間はその熱気に圧倒されてぼーっと立ち尽くすのみでした。しかし雰囲気に慣れて気持ちが落ち着くと、時間内に未知の才能にどれだけ出会えるだろうかと気持ちが焦り、せわしく会場を歩きまわる、あっという間のひとときでした。

参加サークルの中には積極的にネット上で作品をPRしているものもあれば、即売会で販売しているもの以外にその実態を知る術がないものもあります。 インターネットを利用した表現活動が当たり前になった今でも、現場に足を運んで実際に作品を手に取ったり、制作者と直接コミュニケーションして直接情報を得たり……という経験はやはり貴重なものだと思い知りました。

「関西コミティア」は来年からは年3回の開催となりますが、次回は2018年9月30日(日)に天満橋のOMMビルで行われる予定。同人誌の展示即売会に馴染みのない人にこそ、一度はその雰囲気を味わってみて欲しいと思います!

  • WRITER

    シカク


関連記事

※上記掲載の情報は、取材当時のものです。以降に内容が変更される場合がございますのであらかじめご了承ください。

  • SHARE
  • ツイートする
  • facebook
  • LINEで送る
  • はてなブックマークに追加
  • POCKET