本業、副業、趣味…三足の草鞋で充実!シバイヌさん(建設会社事務/着付け師)の場合「オタ女子おしごと百科」第5回

2018/08/03

WRITER劇団雌猫

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
本業、副業、趣味…三足の草鞋で充実!シバイヌさん(建設会社事務/着付け師)の場合「オタ女子おしごと百科」第5回

「いつもオタク現場にいるあの人、一体なんの仕事をしているんだろう?」

ソシャゲに延々お金を注いだり、推しているアイドルのツアーに合わせて全国を飛び回ったり……。すべてを惜しみなく推しに注いている彼女たちはいったいどんなお仕事をして、時間とお金をやりくりしているの?
この連載では、劇団雌猫が、日々趣味と仕事の両方にいそしむオタク女子たちにインタビュー。「仕事とオタ活の両立」の工夫や、知られざる「オタ活に向いた仕事」をひもといていきます。

第5回目の今回は、「本業と副業、2つの仕事を掛け持ちしている」というシバイヌさんに、お話をお伺いしました。

【本日のゲスト】

  • シバイヌさん(30代後半)
  • シバイヌさん(30代後半)

    建設会社の事務職(本業)に加え、副業で着物の着付け師もやっているという、自称・節操のないオタク。現在もっともアツいジャンルは『名探偵コナン』だが、舞台観劇や声優全般、チョコレートなど、幅広い趣味を持っている。

◯◯で出会ったおじさまに魅せられて、着物沼に

◯◯で出会ったおじさまに魅せられて、着物沼に

――本日は、よろしくお願いします! 素敵なお着物ですね。今日のコーディネートのポイントはどこですか?

シバイヌ:ありがとうございます。今日は暑かったので、半襟の代わりに手ぬぐいを合わせてきました。こういう着方を邪道だ、という方も多いんですが、私は見た目の可愛さと気安さ重視で、気楽に着ています。こちらへ来る前にあちこち動き回ったせいで、襟元が乱れていてお恥ずかしいです。

――シバイヌさんは、本業と副業、二つのお仕事をこなされているということですが、具体的にどんなお仕事なのか教えてください。

シバイヌ:よろしくお願いします。本業は建設事務の派遣社員で、副業は着物の着付け師です。着付けの方は、最初は趣味で着付け教室に通っていたんですが、ある日先生に突然「(仕事)現場に一緒に来て、手伝って!」と言われ、いつの間にか手伝うようになって、そこから仕事になりました。

――着付け師! 珍しいお仕事ですよね。着物と出会ったきっかけは何なんでしょう?

シバイヌ:以前、裁判傍聴にハマっていたときの話なんですが……。

――裁判傍聴!? 初っ端から予想外のジャンルが出てくる……(笑)。

シバイヌ:一時期、『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』などの本が出て、傍聴がちょっとブームみたいになったじゃないですか。それで傍聴に通っていた時期があるのですが、同じく傍聴を聞きに来ていたおじさまが、カッコよく和服を着こなしているのを目にしたのがきっかけです。そのあとさらにCLAMP・もこなさんの『CLAMPもこなのオキモノキモノ』を読み、着物っていいなぁと思って。

――そのまま、その先生の元で働かれているんですか?

シバイヌ:その先生の教室は、着付けに関する資格を取得して、卒業しました。今は違う先生のところで働いています。大人になって勉強をする機会はなかなかないので、楽しかったです! 先生は厳しいこともビシバシ言われる方でしたが、それが好きでしたね。

――そもそも着付け師とは、どのようなお仕事なんでしょう? 繁忙期はありますか?

シバイヌ:私が所属している教室は、成人式と卒業式着付けを中心としているので、繁忙期は冬から春にかけてですね。あとは、親戚の冠婚葬祭時に、ちょっとしたお小遣いをもらって着物を着付けたりすることもありますし、オタクである私ならではかもしれませんが、コスプレで和装キャラをする友人に衣装を着付けたこともありますね。それはさすがに、お金はいただきませんでしたが(笑)。

――人に着物を着付けるのって、すごく重労働……じゃないですか?

シバイヌ:一番キツかったのは、大規模な大学の卒業式が2つ重なったときでしたね。着付けて送り出すまでを一人当たり20分程度で終わらせなければならなくて。休憩もなく、4人連続で着付けたところで、死ぬかと思いました。

――ひえ~!

シバイヌ:お客様も皆、お式に遅刻はできないですし、かなり緊張感のある雰囲気なんです(笑)。卒業式の場合は、そのあと謝恩会もあって、そこには袴を脱いでいくという方が多いので、その時間帯にもまた混雑して…。

――考えるだけで大変そうです。

シバイヌ:基本的に朝も早いですし……。始発で間に合わない場合は、会場付近にホテルを取ったりすることもあります。去年の成人式は、着付けている最中に肩こりから来る頭痛で気分が悪くなってしまったこともありました。でも、お客様を前にして着付けを始めたら、アドレナリンが出たのか、痛みを感じなくなったんです。

――『黒子のバスケ』でいうところの「ゾーン」に入ったんですね(笑)! 体力的にも大変なお仕事のようですが、それを本業と両立できているのが凄いです。ここで、本業と副業、お休みの日のスケジュールを教えてもらってもよろしいですか?

本業(建設会社事務)と副業(着付け師)のスケジュール

休日のスケジュール

シバイヌ:本業の建築事務は派遣社員なので、副業がOKなんです。それに、休みも取りやすいし、早退もしやすい。そのあたりはラクですね。午前中に着付けの副業をして、午後から本業に行くというスケジュールも組みやすいです。
副業で疲れそうな現場のときは、あらかじめ有給を取ったりもしますが、多い時で週に1~2回副業の現場に行って、残りは本業をするというスケジュールが多いですね。

広範囲な趣味と仕事の両立、どうしてる?

――では、次は趣味のお話を聞かせてください。色んなジャンルにハマってきたとお聞きしたんですが、あらためてシバイヌさんのオタク遍歴を教えていただけますか?

シバイヌ:最初にハマったジャンルは『ガンダムW』です。弟が見ていて、一緒に見始めたのをきっかけにオタクになりました。その後は『封神演義』『NARUTO』『ワンピース』『ホイッスル!』『ミスターフルスイング』『ガンダムSEED』『銀魂』『黒子のバスケ』『刀剣乱舞』……と、週刊少年ジャンプ作品を中心に様々なアニメ・漫画作品にハマっていき、もともと海外ミステリー小説が好きだったのもあって、現在は『名探偵コナン』がアツいです。
あとは、とある男性声優さんにハマり、イベントに通っていたこともありました。生のライブ感が好きで、舞台鑑賞にもよく行きます。

本棚

――すごい! 多趣味ですね。本業と副業をこなす日々でお忙しいと思うんですが、オタ活との両立はどのようにしていますか?

シバイヌ:本業は休みが取りやすいし、早退もしやすいので、基本的に問題ないですね。この間も、30分だけ早退して観劇に行きました。会社から都心まで距離があるので、早退しないと夜の現場に間に合わないことはありますが、職場には時短勤務の人も多く、あらかじめ伝えておけば大体都合は付きます。

――では、副業についてはいかがですか? 例えば、ものすごく行きたい舞台と、副業の現場がかぶってしまったら……。

シバイヌ:それはすごく悩みますね……。とりあえず、仕事現場に出られるところまで出てから、舞台に行くんじゃないかな。今のところ、運よくそういう「どうしても行きたいけど副業が……!」という状況にはなっていません。
例えば、今年の春コミは副業の予定があって諦めたんですが、同人誌は通販で買えたし…。

――なるほど、「絶対にコミケで同人誌を買わなきゃいけない」とか、そういう気持ちにはあまりならないんですね。

シバイヌ:そうですね。舞台も好きですが、どちらかというとこれまでハマってきたジャンルは、時間や場所を気にせずに自分のペースで楽しめるものが多かったので。元々そういう気質なのかもしれません。一時期、声優さんにハマっていた時は、舞台や朗読劇だけではなく、トークイベントやお渡し会などにも積極的に参加していたのですが、結局2年くらいで気持ちが落ち着いてしまって。嫌いになったとかではまったくないんですが、実在する人間を同じ熱量で追い続けるのは、体力も気力もいるので。2年くらいが限度なのかも、と思いました(笑)。

ところで「着物沼」って、どんな感じなの?

――副業で身に付けた技術がオタ活に活かされたことってありますか?

シバイヌ:着物で握手会などの現場へ行くと、当時好きだった声優さんが覚えてくれたっていうことがありました。「あっ、この前着物着てきた人!」みたいな感じで。

――認知だ! たしかに、毎回着物を着ていると、タレントさん側も覚えやすそうですね。今は何着くらい着物を持っているんですか?

シバイヌ:買ったものやもらったもの全部合わせて、今は50着以上持っていると思います。だいたい4~5万円くらいのものを購入することが多いですね。

着物生地

――4~5万円! 結構お高く感じますが、着物って、だいたいどのくらいの相場なんですか? お手頃なものもあるんでしょうか?

シバイヌ:中古の着物屋さんもありますし、安いものはもっと安いですよ。好きな着物屋さんは公式のTwitterアカウントがあって、入荷情報とか教えてくれるので、そこでこまめにチェックしています。でも、値段は本当にピンキリですね。別の教室の先生で、400万円の着物を着ている人を見たこともあります。

――400万円!! す、すごい……。

シバイヌ:やっぱり、ポンと買える人は買えるんですよね……。1000万円の生地を買って「普段着用に」仕立てた人の話を聞いたこともあります。

――ひえ~! 別次元の話だ。ち、ちなみに、シバイヌさんが今まで買った着物の中で、一番高額だったのは……?

シバイヌ:私は「お金をかけずに楽しく着る」というのがポリシーなので、宇宙柄の着物を4万円くらいで仕立てたのが一番高額でした。でも、帯の方が意外と値が張る場合も多いんですよ。12万円の墨染めの帯をローンで買ったのが一番かな。怖くてまだ2回しか締められていないです(笑)。

宇宙柄の着物

好きなことを仕事にするということ

――お仕事もだいぶ充実されていらっしゃいますが、仕事と趣味はどちらが大事ですか?

シバイヌ:完全に趣味ですね。本業については、はっきり言ってお金を稼ぐため、生活と趣味のためと割り切って働いています。楽しいことがないと生きるのは辛いし、お金のかかる趣味ばかりやっているので。副業と趣味があるので、本業がやっていける。
オタクであることも本業の職場では隠しています。女ばかりの職場なので、変に弱みを晒せないというか……副業ではオタクの友達もいて、着物で遊びに行ったりもするんですが。

――着付けのお仕事についてはどうですか? シバイヌさんにとっては、趣味と仕事の間みたいな感じなのかな? と思ったのですが……。

シバイヌ:本当にそんな感じですね。でも、最終的には副業を本業にしたいと思っていて。完全マンツーマンの着付け教室を作ってみたいんです。

――素敵ですね! ご自身が通われていたような教室を作りたいということですか?

シバイヌ:仕事帰りにふらっと立ち寄ってもらえるような、よりカジュアルな教室がいいなと思います。着付け教室って、入会するときに高額な「着付けセット」みたいなものを買わされることが多くて、私はそれが嫌なんですよね。
教室を開くために、国家資格である着付け技能士の資格を受けようと思っています。やはり国家資格を持っていると強いので。あとは現場で、数をこなしていきたいですね。

――趣味や好きなことを仕事にすることに恐れはないですか? 「仕事にすると、好きだった趣味を嫌いになる」という意見もよく耳にしますが……。

シバイヌ:自由に働くことができれば、嫌いにはならないかなと思うんです。私、子どもの頃から夢がなくって。なりたいものがなかったんですよ。でも、着物に出会って、初めて「着付け師になりたい」という夢ができて。だから、叶えたいです。着付けは一生勉強していくものなので、歳をとっても続けていけるかなと思いますし。

本業、副業、趣味…三足の草鞋で充実!シバイヌさん(建設会社事務/着付け師)の場合「オタ女子おしごと百科」第5回-画像-05

――ライフワークとして続けていきたいのが、着付け師のお仕事なんですね。では、最後に、今の本業・副業をオタクにオススメするとしたら、どのような点が魅力ですか?

シバイヌ:本業は淡々とした仕事なのでオススメとなると難しいんですが……。魅力を挙げるなら、残業なし・土日休みで、時間の自由が利くところがいいかなと思います。あとは、副業OKなところ。
着付けに関しては、美容師やメイクアップアーティストのように、他人を飾ることに喜びを感じる人にはすごく向いていると思います。着付けのやりがいは「他人の人生の節目を飾ることができる」こと。特別な「人生に一度きりの日」をお手伝いしているというところに、すごく喜びを感じます。コスプレをする人だったら、和服キャラのときに自分で着られるし、人にも着せてあげられますしね!

――着物の魅力が伝わるお話、ありがとうございました!

最近の浪費

・「名探偵コナン」関連書籍・グッズ 4万円ほど
赤井秀一にハマって、コミックスや関連グッズを集めています。収集癖があるので、好きなマンガ・アニメのグッズは集めたいタイプ。

・チョコレート 1万円
死ぬまでにおいしいものをできるだけたくさん食べたいというのが人生のモットーで、おいしいチョコレート屋さんを見つけると、つい買ってしまいます。
今週は一週間で1万円くらい使いました!

・着物 毎月1万2千円
今通っている教室の月謝が1万2千円です。最初に通い始めた教室は卒業しましたが、副業のためにも勉強を続けています。

本業、副業、趣味…三足の草鞋で充実!シバイヌさん(建設会社事務/着付け師)の場合「オタ女子おしごと百科」第5回-画像-07

前の記事はこちら

オタクに収入の安定は不可欠?

(メインイラスト:kamochicさん)

  • 劇団雌猫
  • プロフィール

    劇団雌猫

    平成元年生まれのオタク女子4人組。「インターネットで言えない話」をコンセプトに、オタク女子たちが胸のうちを告白した同人誌「悪友」、その書籍化となった『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―』(小学館)が話題。20〜30代女性の幅広い共感を得ている。

関連記事


この記事はいかがでしたか?
よろしければアンケートにご協力ください。

TOPに戻る

  • LINEで送る
  • はてなブックマークに追加
  • +1する
  • POCKET
  • facebook
  • ツイートする