地下アイドルの収入と出費を実例で紹介。ツーショット写真1000円で食べていけるのか?

2018/09/03

WRITERふくもりみほ

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地下アイドルの収入と出費を実例で紹介。ツーショット写真1000円で食べていけるのか?

「地下アイドル」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。簡単にカテゴライズすると、大きな事務所に所属せずにライブ活動をするインディーズアイドルのことで、その規模や知名度は大小様々 、現在数えきれないほどの「地下アイドル」がそれぞれ活動をおこなっています。そんな「地下アイドル」一体どのように運営されているのでしょうか。


こんにちは、ふくもりみほです。
私はライターとしてこのように記事を執筆する一方で、地下アイドルとしても活動しています。しかもコンセプトが「難ありアイドル」さらに「お貧乏担当」なんて肩書きでやらせていただいております。
というわけで、そんな私が「地下アイドルって食っていけるの?」「一緒に写真撮るだけでお金とるんでしょ? 儲かるんじゃないの?」「運営はどうやってお金を回しているの?」などについて、自分たちの実例をあげながら紹介していきたいと思います。

まず、大前提として私たちは、全然売れてません。そりゃもうハチャメチャに売れてません。
地下アイドルの定義は「大きな事務所に所属していない」「メディアに出ることがない」「動員○人以下」など色々あります。本人たちが自称している場合もあれば、あくまで「ライブアイドル」や「インディーズアイドル」であり、自称していない場合もあります。
動員面ではもはや私たちは「地下」どころか「地底」と呼ばれるくらい売れていないのですが、ここではひとまず地下アイドルの部類に入れておいてください。

さて、地下アイドルの活動形態には「事務所所属」か「セルフプロデュース」かという分類があります。
私たちはセルフプロデュース、つまり自分たちで運営しているのでスケジュールの組み立て、ライブで使うものの制作、楽曲や印刷物の発注などもメンバーで行います。
お金のことに関しても、何をいくらで売るか、得たお金をどのように分配するかも自分たちで決めているのです。

「自分たちで運営しています」と言うと、たまに「じゃあ全部自分たちにお金入ってくるからいいね」と言われることがあるのですが、入ってこないから! 自分の懐があったかくなるほど儲かってないから!

それでは実際に地下アイドルをやっていくにあたって、どのような出費があり、それをどうまかなっているか紹介していきたいと思います。

地下アイドルの初期投資はいくら?

実は「今日からアイドルやります!」と宣言してライブに出れば、誰でも地下アイドルになることができます。
まずスタートするにはどれくらいの投資が必要なのでしょうか。

ツイッターアカウントの取得 0円
ライブノルマ 0円
衣装(私服) 0円
楽曲(ライブハウスについているカラオケを使う) 0円

実はライブをするだけなら初期投資0円で地下アイドルは出来るのです!
これが駆けだしのバンドだったら楽器代にスタジオ代、ライブノルマとかもっともっとかかりますからね! おい、地下アイドル楽勝じゃねぇか!

と言ってしまうとこの話は終わってしまうのでもう少し掘っていきましょう。
0円で出来るのはオリジナルソング無し、衣装なし、物販無しの状態です。このままでは実に味気ないものですし、有名になることを目指すには武器が全くありません。
では、今度は実際に私たちが衣装や楽曲を揃えていくまでにかかったお金を見てください。

衣装や小道具
少し小道具のアクが強いですが気にしないでください
公式サイト用の独自ドメイン取得 1080円(1年間)
衣装代 13000円(2人分)
楽曲制作費 20000円
レコーディング代 3000円
ライブ演出のための小道具制作費 9000円
計:46080円

急に「万」へと桁があがってしまいました。
それでも初回ライブ時の衣装は急ごしらえでほぼ私服 、2曲目までのオリジナルソングは制作者のご厚意で無料で制作して頂いたのでかなり安く抑えられています。

練習は音楽スタジオで行って、だいたい1回のスタジオでかかるのは2000円~4000円程度です。あとはフライヤーの印刷代とか、日々の交通費とか、衣装を自分たちで縫ったのでミシン購入費とか細々とした出費があります。

収入その1:ライブのチケットバック

さて、ここまで出費についてあげてきましたが、今度はこれらをどうやって回収するかです。
地下アイドルの主な収入源は「チケットバック」と「物販売り上げ」です。
「チケットバック」とは呼んだお客さんの数に応じてチケット売上からお金が支払われることです。
ノルマがないのにバックがある、という……これまた駆け出しバンドと比べると甘い世界なのですが、私たちが出るライブは500円から1000円程度のバックのものが多いです。
(チケット代が安かったり大規模なライブの場合は、バックが無かったり、10人以上呼んだらバックあり、などがあります)
つまり、バック1000円のライブに毎回必ず10人のお客さんが来てくれれば1回につき1万円の収入があるということです。
でも! そんな上手くはいかない!! なぜなら私たちは売れていないから!!

5周年記念ライブのフライヤー
5周年記念ライブのフライヤー

メンバー

収入その2:物販の売上

もうひとつの大きな収入源は「物販売り上げ」です。というか、こちらの方がメインとも言えます。地下アイドルのライブのあとには必ず物販があり、そこでグッズやCDを販売したり、一緒にチェキを撮ったりします。

物販

それでは実際に私たちが物販に並べているものの、原価と販売価格をみてみましょう。

・CD
(3曲目のオリジナルソングの場合)

CD

原価

CD-R 2246円(50枚分)
CDケース 1382円(50枚分)
CDジャケット印刷費 1700円(100枚分)
楽曲制作費 23000円
CD製作費 自宅PCで手焼きなので無料
ジャケットデザイン料 自分で作ったので無料

販売価格
500円

音源制作費(作詞作曲してくださった方から楽曲を買い取った金額)を抜けば、1枚あたり約90円の原価のものを500円で販売しているので、410円の利益となります。
音源制作費のことを計算にいれると、57枚目以降から自分たちのプラスになるわけです。
実はこの数字は今初めてちゃんと計算したのですが、最初に販売する時に60枚だけ限定ジャケットやボーナストラックを入れてすぐ売り切れるようにしておりました。

自宅のパソコンで手焼き
自宅のパソコンで手焼き

・チェキ

チェキフィルム

原価

チェキフィルム 1400円(20枚) 1枚あたり70円
チェキ本体 7400円
計:8800円

販売価格

その場で撮影 500円
水着で撮影されたもの 700円
コスプレ(もしくは私服)で撮影されたもの 400円

チェキ撮影価格に関してはアイドルによって500円から2000円まで様々です。
プラス1000円でサインをしてもらえたり、「囲みチェキ」と呼ばれるメンバー全員が写るチェキだとメンバー数の分価格が上がったりします。

・生写真
原価

印刷費 30円
撮影費 自分たちで撮影したため無料

販売価格
100円

物販の様子

このようなラインナップで販売し、物販は来てくださった方との交流会の時間にもなります。

プラスもマイナスも多いライブ遠征

基本的に関西住まいなので大阪でライブを行っていますが、月1、2回程度、東京へライブ遠征をします。
私たちにとって、プラスもマイナスも大きいのがこの遠征です。

それではとある遠征の収支をみてもらいましょう。

・調子の良い時 売上

1日目 昼

チェキ 10枚 5000円
CD 1枚 500円
バック 3000円

1日目夜

チェキ 16枚 8000円
水着チェキ 4枚 2800円
バック 2500円

2日目昼

チェキ 9枚 4500円
CD 2枚 1000円

2日目オフ会

参加費売上 15000円
水着チェキ 2枚 1400円
コスプレチェキ 3枚 1200円
売上 計44900円

・支出

チェキフィルム代 44枚分 3080円
CD原価 3枚分 270円
オフ会会場費 6500円
宿泊代 5000円(2人分)

メンバーに支払われるお金

交通費 5000円×2人分 10000円
個人へのチェキ撮影に対してのバック 3600円、3800円
計: 32250円

プラスになったのは12650円

ちなみに私たち個人の懐に入る物販売り上げバックは

ツーショットチェキ撮影 100円
水着チェキ 600円
コスプレチェキ 300円

と設定しております。
チェキ撮影はツーショット以外は個人バックなしです。

個人バック以外のプラス分は運営費になります。
つまり2日間で運営費は12650円増えて、個人の交通費は5000円支給なので足が出た分は自腹です。ちなみにメンバーの1人はバスに耐えられない&家にワンちゃんがいるため基本新幹線移動で往復約27000円かかっています。
この遠征では、交通費と個人バック合わせてギリギリ週末の夜行バス往復運賃がまかなえるくらいとなりました。

運営費は今後の楽曲やグッズ制作費、そして交通費やスタジオ代にあてられます。
お気づきかもしれませんが、2日間でこのプラスということは2人して週末バイトした方がお金は増えるわけです。
お金がないと曲や衣装を新しく作れない、でもライブしないとお客さんは増えない、ブッキングライブも呼んでもらえない……これが悩みどころなのです!

実際にライブに出るかバイトをするかで悩むこともあります。

実際にライブに出るかバイトをするかで悩むこともあります。

今見返してもつらい。
これは本当に切羽詰まりすぎていた時ですが……!

ちなみに先ほどあげたのは調子良い時と書きました。調子悪い時を見てみましょう。

・調子悪い時 売上

チェキ売上 7枚 3500円
バック 500円
計:4000円

これも遠征でした。
しかもこの頃色んな事が重なって、6万円くらいあった資金が数千円になっていて、この時ばかりは交通費全額自腹という選択をとりました。

とまぁ、遠征の時を例にしましたが本拠地大阪でも調子良い時と悪い時があるので同じような感じです。

多くの地下アイドルはアルバイトもしている

メンバーのツイートより

多くの地下アイドルがバイトもしており、かわいい自撮りと共に「それではバイト行ってきます☆」なんてツイートがタイムライン上には流れてきます。
かくいう私も、昼は寿司をパック詰めするライン作業、移動の電車で原稿を直し、夜は着替えて飲食店のバイトへ向かう日々です。
というのは一番ヤバい時のスケジュールなので少し誇張していますが、平日はそれに近い毎日を過ごしています。

地下アイドルのアルバイト事情として他と少し違うのはメイドカフェなどで「アイドルとして」働くことができる点です。
他にも撮影会やオフ会など、「アイドルである」「その子である」価値をお金にかえて収入源にすることができるのが特徴でしょう。
熱心な固定ファンが一定数いる場合、誰もが知っているメジャーアイドルでなくてもアルバイトをせずに「アイドル業」だけで食べていくことは可能なのです。

最後に

ここまで「お金がない」「お金がない」と言いすぎてしまった感もあるのですが、カツカツなのは自分たちのせいだし、それでも活動を続けるのは自分がやりたいからだし、何より楽しいからです。

分かってもらいたいのは「写真を撮るだけで1000円」頂いていても、簡単に儲けているわけではないことです。
バンドにしても劇団にしてもお笑いにしても、もっと「儲からない」「出費ばかりかさむ」駆け出しの活動は沢山あります。地下アイドルは幸いにも握手ひとつ、写真一枚を収入源にすることができます。でも、他の活動と同じように練習のためのお金、人前に出るための衣装や楽曲を作るためのお金は必要です。
そして欲を出せば、それらはいくらでもお金をかけられるのです。

「地下アイドルってなんぞや」と思っていた方も、なんだったらちょっと偏見を持っていた方も、地下アイドルのお金事情わかって頂けたでしょうか?
もちろん色んなパターンがありますし、あくまで私たちの場合です。

気になった方はライブ会場に来てみてくださいね!


  • ふくもりみほさん
  • プロフィール

    ふくもりみほ

    通称「みほたん」。恋愛コラムや男女の出会いの現場レポートなどを多数執筆。趣味はネットサーフィン、特技はネットストーキング。メンバーそれぞれが欠点を持つ“難ありアイドル”『オタフクガールズ』のお貧乏担当としても活動中。
    サイト http://www.mihotan.com/
    ツイッター @fukumoco

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