上坂すみれ「ロシア人の憧れだった幸せな風景を感じてほしい」プーシキン美術館展イベントで

2018/09/19

WRITERテキスト:トライアウト・黄田 駿/撮影:トライアウト・井上雅央

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上坂すみれ「ロシア人の憧れだった幸せな風景を感じてほしい」プーシキン美術館展イベントで

「プーシキン美術館展——旅するフランス風景画―」 が、東京に続き、大阪・中之島の国立国際美術館で10月14日(日)まで開催。エルミタージュ美術館をはじめ、世界規模の美術館や博物館が多数存在する芸術大国・ロシア。中でもプーシキン美術館は、フランスの印象派やポスト印象派の名画が多く収蔵されています。
初来日となるクロード·モネ<草上の昼食>をはじめ、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、ルソーといった巨匠が描いた風景画65点が集結。パリの変遷、南国へのあこがれ、描かれた風景を旅するかのような展覧会で、音声ガイドを務める声優・上坂すみれさんのトークイベントに潜入。さらにインタビューまで敢行しちゃいました。


上坂すみれ、登場

(ソ連国家「祖国は我らのために」が流れる)

上坂:ズドラーストヴィチェ! 上坂すみれです、本日はよろしくお願いいたします。

――(司会:関西テレビ 関純子アナウンサー)ここは大阪ですが、今のあいさつは何語ですか?

上坂:ロシア語でしたが、大阪弁が良かったですか? 大阪っぽい挨拶って何かありますか?

――「どうもー!」とかですかね?

上坂:どうもー!

一同:大歓声

上坂すみれ「風景画に隠されたドラマにも注目してほしい」プーシキン美術館展トークイベント(大阪)-画像-01

――本日の衣装のポイントは?

上坂:ポスターに合わせて黄色にしました。

――靴まで黄色ですね。それでは天然ボケの私と上坂さんで楽しいトークを繰り広げていきたいと思います。

上坂:全然、天然ボケには思えないですよ! 今まで会ったMCさんの中で1番圧が強いです(笑)。

――圧は強い方だと思います。

上坂:気弱な方なのでお手柔らかにお願いします!

上坂すみれプーシキン美術館展「旅とロシア」トーク

――プーシキン美術館を観られていかがでしたか?

上坂:今回のプーシキン美術館展は、フランスの風景画を中心に展示されているんですが、私の好きなロシア・アヴァンギャルド絵画やプロパガンダ的なポスターとはまた違って、フランスの優雅な貴族文化が、ロシア人にとって憧れの存在だったんだなと感じ取れるコレクションでした。

――今回65点が展示されているんですが、上坂さんのお気に入り3作品をお伺いしたいと思います。

お気に入りの作品1 ジュール・コワニエとジャック・レイモン・ブラスカサによる共作「牛のいる風景」

上坂:まずは「牛のいる風景」ですね。その名の通り、牛のいる風景が描かれているんですが、ポカポカとした陽気の草原で牛がお昼寝して、その後ろで牧場主が「みんな帰るで〜」と言ってそうな牧歌的な風景が好きですね。特に左手のカメラ目線の牛が可愛いですね。

――私もすごく印象的な作品でした。こちらの作品はジュール・コワニエとジャック・レイモン・ブラスカサによる共作ですね。

上坂:そうなんですよ。この作品は、風景画がお得意のコワニエさんと牛の絵がお得意なブラスカサさんの合作ということで、どこか現代アニメに通ずるものを感じました(笑)。今頃このお二人は、背景専門とキャラクター専門のアニメーターさんに生まれ変わっているんだろうなと思って観ていました。

――なるほど! ブラスカサは動物画家として有名で、背景は苦手だったみたいなんです。

上坂:ブラスカサさんが牛の絵を描きたくても背景は真っ白だったんですかね? 漫画でもよくありますもんね(笑)。

会場:(大笑い)

――続いてはどの作品ですか?

上坂:次は「夜のパリ」です。観られた方はかなり印象に残ってる作品ではないでしょうか。馬車の音が今にも聞こえてきそうなセレブ感が漂う作品ですね。1910年以前ということで、街にガス灯が点り始めた時期で文明開化の音が聞こえてくるような、そんな素敵な絵です。

――そうですね。それまでの時代、ガス灯はなくて夜は真っ暗だったんですって。

上坂:この時期から夜のショッピングが楽しめるようになったってことですね!

――明かりが漏れるガラスのショーウインドウもこの頃に生まれたんだそうですよ。この作品は大阪会場の人気投票でも1位なんです。

上坂:そうなんですね! ロマンティックな作品ですよね。最後のひとつは、1927年のジャン・リュルサさんの「東方の風景」という作品です。幸せな気持ちで描かれたのが伝わってくる「夜のパリ」と打って変わって、この作品はすごく嫌なことがあった後に描いた絵なんだろうなって思いました(笑)。こういったアヴァンギャルド道を突き進む人って、色んなことを経験して「女神転生」風のタッチに落ち着いたんだろうなって思います(笑)。

――この方はフランス人で、東の旅に行かれて……。

上坂:おかしくなっちゃった、と。

会場:(大笑い)

――いえいえ、違います。東方で見た砂漠や廃墟の記憶を作品に落とし込んだそうなんです。

上坂:フランス人から見た東方ってどこなんだろうっていつも思います。中国なんですか?

――北アフリカやギリシャだそうですよ。

上坂:あ、そうか。フランスから見たらほとんどが東ですもんね。東方のどこか書いておいてほしかったですね。じゃないと我々現代人は、「東方Project」だと思い込んでしまうので。この人も例大祭に出展するのかと……(笑)。だから昔の人に言いたいです。どこの「東方」か地名を書いておいてください!

旅のエピソード

――さて続いては上坂さんに旅のエピソードをお伺いできればと思います。この写真はどこで撮られたんですか?

旅のエピソード

上坂:これは和歌山ですね。「ニュータイプ」という雑誌の撮影で初めて和歌山の南紀白浜に行きました。自然いっぱいで素敵な場所でした。ところで、和歌山と大阪の関係は良好なんですか?

――りょ、良好ですね。和歌山はちょっと大人しいイメージですね。

上坂:和歌山は雑魚だと言うことですね(笑)。

――そんなことは(笑)。続いて、大阪でのエピソードを伺えればと思うのですが、大阪城に行かれたことはありますか?

上坂:そうですね。キン肉マンが戦うところというイメージです(笑)。

会場:(爆笑)

上坂:日本橋のアニメイトでよくイベントはさせていただいてます。東京で食べるたこ焼きよりトロッとしていて胃がもたれずたくさん食べられそうでした。ポン酢味がすごくお気に入りです。

――はい、分かりました。では続いて……。

上坂:え、まだ話の途中(笑)。

――どんどん行きますよ。

上坂:「絶対進行してやる!」という圧力が……。

――はい。ロシアで一番驚いたことは何ですか?

上坂すみれといえばロシア

上坂:私もロシアに行くまでは日本人って嫌われてるんじゃないかと思っていました。「このヤポンスキーめ、手榴弾でも喰らえ!」と言われるのではないかとビクビクしていたんですが、行ってみると親日的ですごく安心しました。驚いたことと言うと、スーパーに子猫が迷い込んでいて商品の黒パンを食べていたこと、ウォッカがひと瓶180円とすっごく安いことです。あとはゴーデンレトリバーくらい大きい野良犬が街中に溶け込んだりしていました。私はロシア人と仲良くなれるように、20歳からウォッカを練習していたんです。それで、いざロシアに行って現地の学生たちと魂の語らいをするぞ、と意気込んでウォッカで乾杯しようとしたら、学生さんが「そんなアルコール依存症を生み出すような飲料は、固く遠慮させていただく。我々はビールを飲む」と言われて。

――えええ!(笑)

上坂:ちょっとショックでしたが、私はウォッカをやめられなかったです(笑)。

――そうなんですね。ロシアの方は皆さんウォッカがお好きなんだと思っていました。

上坂:基本的にビールを飲まれてるみたいですね。ロシアでは最近までビールはアルコールじゃないみたいな法律があったんです。1万円までは課金じゃないみたいな(笑)。そんな謎の法律があったんですが、プーチンによりビールはお酒として認められ学生さんたちはビールを飲むようになったのではないかと思っています。

――ロシアに行かれていた上坂さんならではのエピソードでしたね。

上坂:みんなウォッカが飲めなくてもロシアに行けるから、安心して!

質問コーナー

――最後は上坂すみれさんへの質問コーナーです。

Q.「ロシアに始めて行く時のオススメスポットはどこですか?」

上坂:やっぱり最初はロシアの中で一番栄えてるモスクワがオススメです。建物や美術館が見たいという方は(サンクト)ペテルブルクも良いと思います。ペテルブルクは5月末から7月中旬くらいまでが白夜のシーズンで、その時期もすごく幻想的で綺麗です。なので、インスタ映えを狙うならペテルブルク。ロシア語ができない人はモスクワだったら英語も通じる場所が多いです。最初からイルクーツクのバイカル湖に行っちゃうと、湖の藻屑となってしまうのでやめておいてくださいね(笑)。

上坂すみれ「風景画に隠されたドラマにも注目してほしい」プーシキン美術館展トークイベント(大阪)-画像-07

Q.「もし美術館で働いていたらどんな展示を行いたいですか?」

上坂:やっぱり私はロシア・アヴァンギャルド展がしたいですね。大きい美術館でロシア・アヴァンギャルド展ってあまりやっていないので、ぜひやりたいですね。
ソ連の絵画歴史展みたいなことをしてみたいですが、多分来場者数が3名くらいで終わっちゃいそうですね。

――私は興味がありますよ! 音声ガイドの作品解説は、ぜひ上坂さんにやってもらってね。

上坂:私も解説するのは楽しみですね。それと会場内のスタッフさんの椅子に座って、観ている人に急に話しかけたりしたいですね〜。「この絵、面白いでしょー」なんて、来場された方にロシアの魅力をお伝えしたいですね。


さてトークイベントはここまで。続いては上坂すみれさんの単独インタビューです。

インタビュー

――改めて今回の展覧会、上坂さんならではの見どころはどこですか?

上坂すみれ「風景画に隠されたドラマにも注目してほしい」プーシキン美術館展トークイベント(大阪)-画像-08

「旅するフランス風景画」というタイトルそのもので、ロシア人から見た憧れのフランスの風景です。柔らかな光が差し込むフランスの景色が美しいですし、その背景にロシアの貴族がフランスへの憧れがあったんだなと感じられる点ですね。

――ロシア・アヴァンギャルド絵画とはまた違った雰囲気の作品ばかりで、ロシアの新たな一面を知れる展覧会でした。上坂さんはこの展覧会を通して、新しく気付けたロシアの魅力はありましたか?

私がロシアに行った時には、プーシキン美術館は実際に行けなかったので、こういう絵があるんだと初めて知れて実際に行ってみたいなとも思いました。

上坂すみれ「風景画に隠されたドラマにも注目してほしい」プーシキン美術館展トークイベント(大阪)-画像-09

有名なコレクターが集めた作品がロシア革命時に散逸してしまったけど、またロシアの元に戻ってきたというドラマが知れたりしました。そういった歴史を感じられて、この絵画を日本で観れることにすごく感動しました。

――そうですね。旅の風景画というだけでなく、絵画たちが体験してきた旅の経緯やストーリーを感じられましたね。先ほどのトークイベントで印象的だと感じたのが、「牛のいる風景」の感想で、「アニメーターさんの関係みたい」とおっしゃっていて上坂さんならではの目線だなと感じました。他にもアニメ的な目線で作品を観られていましたか?

絵画の世界にも背景専門の方がいたんだなと新たな発見もありましたし、この人が描く女の子は可愛いみたいなのもあるのかなと思っていました。ルノアールさんとかそうなのかな? 昔から美少女画は、どの国でも人気があったんだなと思いました(笑)。

――面白いですね(笑)。アニメで言うとロシア・アヴァンギャルド絵画がセカイ系だとすれば、今回の作品は日常系といった感じでしたね。

そうですね。誰でもほのぼのと穏やかな気持ちで楽しめるので、絵画に詳しくないという方にもオススメしたいですね!

――今回の「旅するフランス風景画」というテーマに因んで、ロシアの旅での印象的な風景はありますか?

国土の広い国なので、道路の幅や建物のスケールが日本と比べてとっても大きいんです。また、ロシア帝国やソ連時代に建てられた建築物もたくさん残っていて、そのごった煮っぽい風景が素敵でしたね。アメリカとはまた違ったスケールの大きさでした。
スーパーとかもすんごく大きくて、ハムとチーズのコーナーだけでテニスコート2面くらいありました(笑)。

――そんなに大きいんですね! その他にロシアの街人たちの風景で思い出深いものもありますか?

モスクワだと地下鉄の美しい装飾が有名なんですけれど、その一方で電車のドアがバンッてすごい勢いで閉まるんです。ギロチンドアと呼ばれるやつですね。日本みたいにドアの隙間にプニプニした緩衝材もなくて、鉄と鉄がぶつかり合うので、ロシアの女の子がドアが閉まる寸前に駆け込もうとしたけど諦めた、みたいな光景も如何にもロシアって感じで印象的でした。

上坂すみれ「風景画に隠されたドラマにも注目してほしい」プーシキン美術館展トークイベント(大阪)-画像-10

都市部では貧困というイメージはほとんどなく、街中がすごく陽気なムードでしたね。バレエや美術館のチケットがすごく安いので、気軽に入っていて文化的な暮らしで憧れました。

――今回のトークイベントを終えての感想は?

イベントはよくさせていただいてるんですけど、今回は美術館内でのトークだったのでロシアやフランス絵画といった美術の話もできたので楽しかったです。

――同志諸君にロシアの魅力は啓蒙できましたか?

そうですね。日々啓蒙し続けていますが、同志諸君が祖国(ロシア)の土を踏むまでは啓蒙し続けていきたいですね(笑)。

――今回、司会者とのバトルが面白かったですが、大阪の司会者とのやり取りはいかがでしたか?

今まで大阪っぽい人と話す機会が少なかったので、緊張していました。押しが強い人は、頑張って押し返さなきゃいけないんだなということを学びました(笑)。

――これから展覧会に訪れる方に、何かメッセージはありますか?

上坂すみれ「風景画に隠されたドラマにも注目してほしい」プーシキン美術館展トークイベント(大阪)-画像-11

女性でも男性でも楽しめますし、シーズン的にも肌寒くなってくるので、温かみのある絵でポカポカとハッピーな気持ちになってほしいですね。ロシア人の憧れだった幸せな風景を感じてもらえればなと思います。


・「プーシキン美術館展 ——旅するフランス風景画―」概要
プーシキン美術館展――旅するフランス風景画」(大阪展)
会期:開催中~10月14日(日)
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
WEB:pushkin2018.jp/

  • 上坂すれみさん
  • PROFILE

    上坂すみれ

    2012年1月にテレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」で本格的に声優デビュー。「艦隊これくしょん-艦これ-」、「ガールズ&パンツァー」などの人気作品に出演し、 2016年には第10回声優アワード新人女優賞を受賞。声優以外にもラジオや歌手活動、イラスト原画展の開催など多彩に活動中。
    上智大学ロシア語学科を卒業後も趣味でロシアを研究し、「ロシア愛好家」としても多数のメディアに出演。

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