ジャニオタで培った知識を就活・仕事にも活かしてきたオコジョ(マンガ編集者)の場合「オタ女子おしごと百科」第7回

2018/10/05

WRITER劇団雌猫

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ジャニオタで培った知識を就活・仕事にも活かしてきたオコジョ(マンガ編集者)の場合「オタ女子おしごと百科」第7回

「いつもオタク現場にいるあの人、一体なんの仕事をしているんだろう?」

ソシャゲに延々お金を注いだり、推しているアイドルのツアーに合わせて全国を飛び回ったり……。すべてを惜しみなく推しに注いでいる彼女たちはいったいどんなお仕事をして、時間とお金をやりくりしているの?
この連載では、劇団雌猫が、日々趣味と仕事の両方にいそしむオタク女子たちにインタビュー。「仕事とオタ活の両立」の工夫や、知られざる「オタ活に向いた仕事」をひもといていきます。

第7回目の今回は、出版業界で激務に耐えながら平日のコンサートや地方遠征も実現させているオコジョさんにお話をお伺いしました。

【本日のゲスト】

  • オコジョさん(26歳)
  • オコジョさん(26歳)

    少女漫画雑誌の編集をしている、社会人4年目。中学生の時に嵐にハマってからジャニーズのさまざまなグループを追いかけ、今はジャニーズJr.に夢中。この夏は同じ公演に12回入り、チケット代だけで8万円を浪費。

ジャニオタで培った知識を面接でアピール

ーーオコジョさんは、文化系女子の多くが一度は憧れるであろう出版業界で少女漫画雑誌の編集をしているということですが、幼少期から漫画の編集者志望だったんですか?

オコジョ:いえ、元々はアイドル雑誌の編集がしたかったんです。私は四国の山奥出身なんですが、幼いころからミーハーで、アイドルや芸能人が大好きで。でも、田舎すぎて地元ではコンサートなんてやってくれないし、テレビも見たい番組が映らなかったりして……。確実に好きなアイドルの情報を摂取できるのがアイドル誌だけだったので、毎月お小遣いで買えるだけ買って、一冊まるまる暗記するほど読み込んでいました。

ーーなるほど、アイドル欲を満たすために、雑誌は貴重な存在だったんですね。

オコジョ:インターネットが普及した今でも「雑誌は田舎の端っこまで届く」みたいな感覚がなんとなくあり、私もそういう地域に住んでるエンタメや芸能が好きな子どもに夢を届けたいと思うようになりました。

ジャニオタで培った知識を就活・仕事にも活かしてきたオコジョ(マンガ編集者)の場合「オタ女子おしごと百科」第7回-画像-01

ーー「子どもに夢を届けたい」という理由、かっこいいです! 出版業界は、就職活動でもかなり人気だと思いますが、内定をもらうために意識していたことはありますか?

オコジョ:私の場合はとにかく手当たり次第に受けました。結局受かった会社も、一番やりたかった芸能誌は出していない会社ですし。どこでもいいから、まず出版業界に潜り込みたかったんですよね。

ーーいきなりピンポイントで行きたい会社でやりたい仕事に就ける人って少ないですもんね。まずは業界単位で攻める。参考になります! 面接で具体的に意識していたことはありますか?

オコジョ:出版社の人って、意外と物事のキャッチアップが遅い印象があります。特にインターネットでのトレンドや若い子の流行に疎くて、むしろ「インターネットとか邪道」「電子書籍より本屋で実物を買いましょう」みたいな雰囲気がまだまだある。でも、面接官の中には「このまま流行りに疎いのはまずいな」と思っている人もいるので、その気持ちをくすぐることを面接で言っていたのは大きかったと思います。
私、ジャニーズが好きなんですが、ジャニオタって「はてなブログ」とかTwitterを普段から使いこなして情報収集・発信してるので、そういう話をしたりとか。

ーージャニオタ活動で培った知識を面接でアピール! 早くも趣味を仕事に活かしたエピソードが出てきました。出版業界に入ってからはどういったお仕事をされていますか?

オコジョ:月刊少女漫画誌の編集として、漫画家さんと一緒に漫画を作るのが主な仕事ですね。現在は、本誌で連載を2本、別冊で連載を1本もっています。その他、デビューしたての新人さんや4コマ漫画がメインのギャグ作家さんも合わせると、1人でだいたい10人くらいの作家さんを担当しています。それプラス、漫画家を目指して頑張っている投稿者の方も3人くらい見ていますね。

ーー1人で10人も! 想像していたよりも多いです。

オコジョ:人数だけ見ると「多い」と思われるかもしれませんが、そのうち毎月進行するのは本誌連載の2人のみです。その2人とは、プロット(ストーリー)打ち合わせ(2~3回)→ネーム打ち合わせ(2~3回)→下絵の確認……と1カ月の間に4~5回連絡を取りますが、投稿者の方たちは、普段はお仕事されていたり学生さんだったりするので作業ペースも早くなく、2~3週間に1回連絡を取る程度です。

ーー他に、実はこんなこともやってます、という業務はありますか?

オコジョ:半年に1~2回くらい、芸能グラビアの記事を作ったりもします。担当漫画がドラマ化・映画化するタイミングで、プロモーションとして主演の女優さん・俳優さんを撮ることが多いですが、たまに「ページに余裕があるし、この芸能人の人気が最近すごいらしいから、グラビアやろう!」みたいな理由で記事としてやることもあります。

ーー3次元を扱うこともあるのですね! ミーハー心がくすぐられます。

オコジョ:担当漫画が映像化すると、その撮影や収録に立ち会う仕事もありますよ。以前、担当作がアニメ化した時は、作家さんと一緒にアフレコ現場に行ってアフレコを見学させてもらいました! 何かあると大変なので、初回はなるべく立ち会うようにしています。

ーー実際にアフレコを見るのは、感動が大きそうですね。

オコジョ:そうなんです! 作家さんもテンションが上がるものなので、馬の目の前にぶら下げたニンジンのようにご褒美として連れていくこともありました。「ほら~あの声優さんがアフレコしてますよ! すごいですね! テンション上がりましたね! さっ、帰ってネームの打ち合わせしましょう!」みたいな(笑)。

ーー切り替えが早い(笑)。仕事のやりがいを感じるのはどんな時ですか?

オコジョ:アニメ化もそうですけど、担当してる漫画が何か結果を出した時ですね。私がデビューさせた新人の作家が、デビュー作でいきなりアンケート3位を取ったときはすごく嬉しかったです。コミックスが重版されたりするのもすごく嬉しいですし。
あと読者の方からのファンレターを検閲のために私も一応見るのですが、そこに熱心に感想が書いてあるのも励みになります。

ーー世間から直接的に評価されるお仕事は、プレッシャーがありそうですが、やりがいも大きそうです。逆に大変なところは、どういったところですか?

オコジョ:大変なのは、なかなか結果が出せないときです。明確に「これをやったから目標達成」みたいな仕事ではなくて、数値で測れない感覚の部分も多いので大変です。

ーー目標達成までの道のりが見えないと、精神的につらいですよね……。具体的にこんな時がきつかった、というエピソードはありますか?

オコジョ:「この新キャラは絶対ウケるはず!」と思って出したキャラがいまいち読者人気がなかったり、「この新人さんは絶対この話を書いた方がいい!」と思って企画書を出したものが編集会議のコンペで編集長からぼろくそに言われたり……。
作家さんと打ち合わせしてて、「何ページのここが駄目」とかじゃなくて、「読んでてなんかテンション上がらない」とか「なんかワクワクしない」みたいな、具体的なアドバイスが出てこないときもへこみます。

ーー「なんか面白くない」って思う漫画は、読者目線でもたくさん出会ってきました。それを具体的にして伝えるのは、たしかに難しい……。

オコジョ:あとは単純に、働いている時間の長さも割とキツイです。今は基本的に昼の12時に会社に行って、終電帰りも多いですし、校了前は2~3時、酷い時は朝の5時6時くらいまで仕事が終わらなくて始発で帰ったりとか。部署で一緒に残ってる社員がいる時は励まし合いつつ乗り切るんですけど、一人で明け方まで残業したりするときは、心折れますね(笑)。

未来の自分を助ける「チケット購入のルール」

ーーさて、ここからは、プライベートの話もお伺いできればと思います! いちばん好きなジャンルは、今までの話にも出ていた通りジャニーズでしょうか?

オコジョ:はい! 中学生のときに嵐にハマってから、今までずーっとジャニーズ、特にバレーユニ(※)が大好きです。嵐の二宮くん→Hey!Say!JUMPの中島裕翔くん→Sexy Zoneの中島健人くん→Sexy Zoneのバックで踊ってるJr.に降りてジャニーズJr.を好きになり、今……という感じです。
(※バレーユニ…ワールドカップバレーボールの大会サポーターを務めるために結成されたジャニーズのアイドルグループ。’95年にデビューしたV6をはじめ、嵐、Hey!Say!JUMP、Sexy Zoneがこれにあたる。ジャニーズJr.の頃からユニットを組んで活動していたわけではなく、デビューに際しいちからメンバーが集められるのが特徴)

コンサート「夏祭り!裸の少年」

ーーバレーユニ! バレーボールの大会サポーターを務めたグループを「バレーユニ」とくくるのを初めて知りました(笑)。現在、特にハマっているのはどのグループですか?

オコジョ:今は、どのグループというよりも、ジャニーズJr.が全体的にアツいです! 今のJr.って全体的にすごく面白いんですよ。Jr.だけの単独コンサートをしたり、YouTubeで公式チャンネルが始まったり。ジャニーズ事務所もいきなりコーポレートサイトを作って組織図を公開してきたりして、どんどん変わっていくんだろうな……とドキドキしています。良い方に変わっていくのか、悪い方に変わっていくのかは分からないので不安でもあるんですけど……。

ーーインターネットのイメージがないジャニーズのなかで、Jr.はYouTubeの公式チャンネルがあるんですね。新しいことをいろいろやってくれそうで、たしかにドキドキします! ジャニーズは現場数やお金の使い道が多いイメージですが、仕事を選ぶときにオタ活との両立は考えましたか?

オコジョ:考えました。というか、最初にも言ったように、本当はアイドル誌の編集になってジャニーズと働きたかった(笑)! でも、出版社に入りさえすれば、なにかのタイミングで一緒に仕事する機会はあるかな……という、よこしまな気持ちもありました。
あとは、給与面は結構大きいです。正直いって同世代の女子よりもかなり給料は高いので、オタ活に使うお金に困らないだろうなという気持ちもありました。
ただ、激務だということも分かっていたので、お金はあってもコンサートに行く時間はあるのか……?という不安はちょっとありましたが。

ーーコンサートはジャニオタにとって欠かせない時間ですもんね……。実際に働いてみて、両立はできてますか?

オコジョ:思ったよりできています。危惧していた時間の捻出についても、編集って個人プレーだし、裁量労働制なので、自分次第でいかようにでもスケジュールを組めるんだと気付きました。
例えば平日の昼間、会社を抜けてコンサートに行ってまた帰ってくる……とかも、やろうと思えばできます。昼の12時までに出社すればいいので、地方へ遠征に行った時も、月曜朝イチの便で帰ってきて羽田からそのまま出社したら遅刻にならないんですよ!

ーー昼の12時までに出社すればいいというのは、オタ活にとってかなりありがたいですね! 平日と休日のスケジュールは具体的にどんな感じなのか気になります。

スケジュール

オコジョ:配属される部署次第だと思いますが、うちの部署は基本的にはカレンダー通りの休みなので、土日もサイン会などのイベント等がない限りはコンサートに行けます。ただ、土曜の昼間のチケットは取らないことにしています。どうしても金曜の夜が残業で深夜~明け方帰宅になることが多くて、何度かコンサートに寝坊して遅刻したことがあったので……。

アイドル誌から学ぶ「差し入れ術」

ーーオコジョさんは、ジャニオタであることを面接でもアピールされていましたが、実際に働いてみて役に立ったことはありますか?

オコジョ:まず、ジャニーズ好きだと様々なタイプのイケメンのパターンを知っているので、恋愛漫画の相手役の男の子を考える時はすごく役に立ちます。ジャニーズの写真がスマホの画像フォルダにいっぱい入ってるので、「今時の男子はこうやって制服を腕まくりするとかっこいいんですよ!」とか「次の扉絵はこの『WiNK UP』のグラビアみたいな感じにしましょうよ!」とか画像を見せながら伝えられます。このアドバイスが作家さんの役に立ってるのかはよく分からないんですが……(笑)。

ーー自然と画像フォルダがイケメンネタ帳に……! 具体的な写真があるとイメージの共有に便利ですね。

オコジョ:あと、実は前に1回だけ企画記事で当時の自担(好きなグループ)のインタビューをしたことがあるんです。その時、先輩社員の女性が、デパ地下の高級なケーキや和菓子を差し入れに買っていて。でも、私は昔からアイドル誌の「撮影裏話」とかを読んで、「年頃の若いアイドルはピザとか唐揚げみたいな腹にたまるものが好き」と分かっていたので、その先輩の差し入れにプラスしてピザと駄菓子を大量に持って行ったんです。そうしたら、見事にみんなピザと駄菓子ばっかりバクバク食べていて、撮影が上手くいき、先輩にも「あんたすごいね」って褒められた……ということはありました。

ーー「撮影裏話」めちゃくちゃ信頼できるじゃないですか(笑)。では、オタクだということは職場で明かしていますか?

オコジョ:明かしています。最初はちょっと「ミーハー女子」みたいな感じで警戒されてたんですが、先ほどのピザ事件があってからは一目置かれるようになった……と思っています。

ーーピザ事件(笑)! オタクを仕事に活かしたエピソードをつくると、信頼されてオタクが武器になる……これは他の仕事でも言えそうです。

オコジョ:作家さんにもオタクであることは伝えています。漫画って人間の感情を描くものだと思うので、ビジネスライクな付き合いだけだと作家さんの深い部分の気持ちまでは掴めない。なので、「何でも言い合える女友達」みたいな関係を目指しています。まずはこっちの性格や趣味を全力でさらけ出すことで、作家さんにも警戒心を解いてもらえるのではないか、と思っています。

ーー相手に心を開いてもらうにはまずは自分から、ですね。

オコジョ:あとは、私が事前に「この日はコンサートなので、連絡がつきにくいです」みたいに言っておくと、絶対その前日までにネームをあげてくれる(笑)。内心はムカつかれてるかもしれませんが、逆に隠してて「急いでネーム見てほしいのに連絡が取れない!」ってなるよりは、「オコジョさんはまたコンサートか、仕方ないな……。」って思ってもらえる方が、良好な関係を築けると思います。いや、なるべく仕事を優先するようにはしてるんですけど……。

――たしかに「コンサート」ということまで具体的に伝えていると、仕方ないな……と割り切れるかもしれません(笑)。仕事も楽しそうなオコジョさんですが、ぶっちゃけた話、仕事と趣味でいうとどちらが大事ですか?

オコジョ:趣味……と言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、仕事です。やっぱりお金がないと趣味も満足にできないので、お金を稼ぐためには仕事をしないと、という気持ちがあります。
でも私はわがままなので、「仕事はお金を稼ぐための手段、稼げるなら何でもいい」というところまでは割り切れなくて。なので今の、「趣味が仕事に活きることも多い、更にもしかすると好きな人に仕事で会えるチャンスもある」くらいの仕事が、楽しいなと思っています。

ーー転職を検討したことはありませんか?

オコジョ:芸能誌の編集は、死ぬまでに一度はやってみたいですね。そもそも紙媒体の未来を考えると不安になったりもしますし、転職を考えることは正直あります。周りのIT企業に勤めてる友人が2~3年くらいでどんどん転職していくので、それを見てると転職に対するハードルも下がるというか(笑)。「やらない後悔よりやって後悔」を信条に生きているので、いつかは転職するのかな、と思っています。

ーー最後に、出版業界への就職や転職を検討している読者の方に対してメッセージをお願いします!

オコジョ:憧れの漫画家さんや声優さん、芸能人と一緒に仕事できたり、自分で何か形に残るものを作ったりできたりするところはすごく楽しいと思います。業界の未来を思うとやや不安なところもありますが(笑)、毎日が文化祭の準備みたいににぎやかで、ワクワクしますよ!

ーーオコジョさんの働き方を見て、趣味を活かした仕事に就いてみたいと思った方はたくさんいると思います。かく言うわたしもそのひとりです(笑)。ありがとうございました!

★オコジョさんの主な浪費

1)毎月購入するアイドル誌(月に5000円くらい)

自担がレギュラーで登場する「WiNK UP」「DUET」「POTATO」「Myojo」「ポポロ」の5誌は毎月必ず購入しています。さらに、「TVガイド」「テレビジョン」などのテレビ誌や舞台誌、ファッション誌などに登場する月もあるので、何だかんだ月に3000~5000円くらいは雑誌代に消えていると思います。

2)コンサート「夏祭り!裸の少年」チケット代(8万1600円)

「夏祭り!裸の少年」チケット

7月20日~8月26日までEXシアター六本木で行われていたジャニーズJr.のコンサートです。全部で12公演入ったので、チケット代だけでこの値段。「何で同じ公演を何度も見るの?」と、オタクじゃない知り合いによく聞かれるんですが、何でも何も私もアイドルも生きてる人間なんだから1分1秒だって同じ瞬間は無いわけです。この夏も毎回入るたびに新たな発見があって、楽しかったです。

3)ジムの契約費(8万円)

突然アラサー感のある浪費ですが、会社に入ってから不規則な生活がたたってめちゃくちゃ太ってしまって……。周りもどんどんジムに入会しているので、私も重い腰を上げて通い始めました。最近は本誌と増刊、コミックスの校了が続いた上にコンサートもあるし、さっそく半月くらいサボっています。入会費を無駄にして文字通りの「浪費」にならないように、また頑張らないと……。

前の記事はこちら

己への課金を開始

(メインイラスト:kamochicさん)

  • 劇団雌猫
  • プロフィール

    劇団雌猫

    平成元年生まれのオタク女子4人組。「インターネットで言えない話」をコンセプトに、オタク女子たちが胸のうちを告白した同人誌「悪友」、その書籍化となった『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―』(小学館)が話題。20〜30代女性の幅広い共感を得ている。

関連記事


この記事はいかがでしたか?
よろしければアンケートにご協力ください。

TOPに戻る

  • LINEで送る
  • はてなブックマークに追加
  • +1する
  • POCKET
  • facebook
  • ツイートする