東日本大震災が起きた平成23年。「こだまでしょうか」「LINE」…その後の文化の変化は?「タイムスリップ!平成ひらめき物語」

2018/11/13

WRITER漫画:風見2/テキスト:Zing!編集部 ピーター

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東日本大震災が起きた平成23年。「こだまでしょうか」「LINE」…その後の文化の変化は?「タイムスリップ!平成ひらめき物語」

平成元年(1989年)~平成31年(2019年)までの平成を振り返る、風見2さんによる漫画「タイムスリップ!平成ひらめき物語」。今回は平成23年(2011年)です。
この年は東日本大震災が起きました。今も多くの問題を残すこの年の出来事について、メガネコくんたちと一緒に振り返ってみましょう。

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    メガネをかけた不思議なネコ。聖子派。

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タイムスリップ!平成ひらめき物語タイムスリップ!平成ひらめき物語

●日本全国が揺れた、東日本大震災

平成23年(2011年)3月11日14時46分ごろ、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生。マグニチュード9.0、最大震度7のこの大地震で、宮城県気仙沼市では13mを超える大津波が観測され、揺れに加え津波により甚大な被害を引き起こしました。また福島の原子力発電所で事故が起こり、地震と合わせ「東日本大震災」と呼ばれています。

2万人を超える死者・行方不明者及び負傷者を出したこの震災。家屋の損壊や二次被害は数え切れないほどあり、今も被災された方には困難な生活を送られている方もいらっしゃいます。被害に遭われた方には心よりお悔やみ申し上げます。
風見2さんの漫画にあるように、岐阜や関西も含め東北や関東以外の多くの地域で揺れが観測されました。被害の大小はあれど、日本全国の人が同時に経験した、史上稀に見る大災害でした。

今回は阪神大震災と東日本大震災を軸に、平成を振り返ってみます。

●震災の問題が未了のうちに続く平成の災害

東日本大震災の前に起こった、平成7年(1995年)の阪神大震災。起こったのは23年前ですが、実は未了の(まだ終わっていない)問題が多くあります。平成30年時点でも震災復興のために神戸市が発行した県債の4000億円は未返済のまま。神戸の一部の地域では諸々の事情で23年経った今でも「再開発」が続いています。

阪神大震災ですら問題を残している中で、東日本大震災は起きました。この震災については、まだその余波を多くの方が実感されて続けているであろう、未了で進行中の問題ばかりです。さらにその後も地震、台風、大雨……多くの災害が起こりました。日本列島の地球上の位置や形、環境の変化もあるでしょうが、日本に生きるということは災害とどう付き合うかということか……とも感じます。災害は起こってほしくないですが、日本列島だからこそ生まれる季節のうつろいは日本に住む人の心性や文化にも影響している部分もあるでしょう。また、災害も人々の心に変化をもたらしたり、新たなテクノロジーの進化を促すものでもあります。

●Twitterの役割、LINEの機能にも影響

東日本大震災当日、私(ピーター)は東京の会社で働いておりました。ビルがぐにゃぐにゃと揺れ、交通は混乱。多くの人が駅に溢れて帰宅できず、会社に一泊することになりました。情報が錯綜しているなか、リアルタイムの情報を知ることができたのは、Twitterを通じてでした。阪神大震災→東日本大震災で起きた大きなテクノロジーの変化はインターネットが普及したこと。さらにスマホやSNSが広まったことで、災害のより細やかな情報を動画・画像・テキストで知るようになりました。「スマホ」はこの年、流行語になっています。平成24年の漫画でも触れますが、23年にサービス開始したLINEの既読機能は、震災後「安否確認に便利」ということから生まれたものだそう。安否確認のため電話やメールがつながりにくい状況では、LINEなどSNS経由のほうが便利になる場合もあります。

東日本大震災直後と、影響を受けた文化

テレビ離れも叫ばれる一方で、テレビをリアルタイムで観ながらTwitterで実況するスタイルは一般化しています。震災の影響でシリーズ途中で関東地方を中心に放送休止となったアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」。物語の核心に迫る回だったことも相まって、10話が放送再開された際のTwitterは盛り上がっていた記憶があります。

震災直後は自粛モードが漂っていたため、企業CMの露出が減り日本公共広告機構(ACジャパン)のCMばかりが流れる状況がありました。流行語に入っている「こだまでしょうか」はACジャパンのCM内で朗読された、金子みすゞの詩の一節。同じくACの『あいさつの魔法。』での「ポポポポーン」も流行語にノミネート。印象的なフレーズでもありましたが、やはり露出量の多さと頻度が記憶に残るのだなと思いました。

西島大介さんの『Young, Alive, in Love』やしりあがり寿さんの『あの日からのマンガ』は震災を受けて生まれた漫画作品。またフィクションで平成23年を描く上で、避けて通れなかった、と映画「寝ても覚めても」の濱口竜介監督は語っています。震災が創作にも影響していっています。

震災後の流行の変化

阪神大震災は世紀末も控えており、「ノストラダムスの大予言」などの記憶も手伝って、世紀末感が強くありました。世界の終末を予感させた「新世紀エヴァンゲリオン」には多くの思想・哲学、精神分析・心理学の用語、聖書・神話からの引用が行われていました。その後平成8年に「閉塞感」、平成9年には神戸連続児童殺傷事件の犯人のことば「透明な存在」が流行語になり、1982・1983年生まれの少年は「キレる17歳」と呼ばれました。平成10~11年にはグラビアアイドルとして優香さん、井川遥さんがデビュー。「癒し系」という言葉が流行しました。流行語をピックアップしていくと、阪神大震災後は閉塞感や終末感がありながら心の問題にクローズアップしていき、最終的に癒やし……の流れに至ったのかもしれません。

東日本大震災後はというと、iPS細胞を発表した小保方晴子さんの疑惑、SEALDsなどの活動、ヘイトスピーチの流行、「ゲス不倫」「炎上」……という個人の怒りが事件になるよりも、個人や問題に対してSNSを介して大勢がバッシングしたり意見を交わしたりする流れが生まれたように見えます。「保育園落ちた日本死ね」、ブラック企業の告発や過労自殺問題、ドナルド・トランプ大統領就任とフェイクニュース問題……と権力の裏側の暴露と合わせて、二項対立を煽り感情と正論の主張がまぜこぜになってしまう雰囲気も感じます。一方でLGBTQへの関心が高まるなど、こういった問題の議論は多様性を尊重する動きにもつながっているようです。

すべての出来事を震災の影響を理由とすることはできませんが、震災が人の心に与えた影響は計り知れません。
いつの時代でも人の心をつくるのに大事なのは創作や娯楽、人同士の表現・コミュニケーションであろうと思っています。Zing!は表現する人や作品・多様な視点を紹介し、変化しようとする人に寄り添うメディアでありたいです。

関連:災害時に電源なしでも遊べる!コンパクトなおすすめアナログゲーム・遊び10選

……

hohoemi

ほか、平成23年はこんな時代でした。

タイムスリップ!平成ひらめき物語

平成22年はこちら

平成24年はこちら

<参考>
・出生数
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webgaiyoh/html/gb1_s1-1.html

・今年の漢字
http://www.kanken.or.jp/project/edification/years_kanji/history.html

・流行語
http://singo.jiyu.co.jp/

・主な出来事・アニメ・漫画・ゲーム・テクノロジー
メディアアート国際化推進委員会『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989』(図書刊行会)
http://www.asahi.com/special/timeline/heisei/
http://www.huffingtonpost.jp/2018年01月01日/heisei_a_23321167/

・日経平均株価
https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/data?list=annually

・求人倍率
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0301.html

・ヒット曲(ミリオン超え)
http://www.riaj.or.jp/f/data/others/mil.html

・インターネット
https://www.nic.ad.jp/timeline/

  • 風見2さん
  • Profile

    風見2

    風見2です。今回は平成を振り返る冒険のナビゲーターを務めさせていただきます。よろしくお願いします!
    主にツイッターで毎日マンガを発表していますので、そちらもどうぞよろしく。
    https://twitter.com/_Kazami__

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