激務だけど深読みオタクにおすすめ!?戦略コンサル・マッコウクジラさんの場合「オタ女子おしごと百科」第9回

2018/12/07

WRITER劇団雌猫

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
激務だけど深読みオタクにおすすめ!?戦略コンサル・マッコウクジラさんの場合「オタ女子おしごと百科」第9回

「いつもオタク現場にいるあの人、一体なんの仕事をしているんだろう?」

ソシャゲに延々お金を注いだり、推しているアイドルのツアーに合わせて全国を飛び回ったり……。すべてを惜しみなく推しに注いでいる彼女たちはいったいどんなお仕事をして、時間とお金をやりくりしているの?

この連載では、劇団雌猫が、日々趣味と仕事の両方にいそしむオタク女子たちにインタビュー。「仕事とオタ活の両立」の工夫や、知られざる「オタ活に向いた仕事」をひもといていきます。

第9回目は、戦略系コンサルタントとして働くマッコウクジラさん。「エリート」「激務」という印象があるコンサルですが、実はあるタイプのオタクに向いた職業だそうで……!?

【本日のゲスト】

  • マッコウクジラさん
  • マッコウクジラさん(32歳)

    新卒でコンサルティングファームに入社。他業種への転職を挟みながらも、現在も戦略系コンサルタントとして活躍。「青春ゾンビ」を自称するオタクで、頑張っている年下のグループアイドルについつい涙してしまう。最近のジャンルは「BOYS AND MEN」。

人生の選べる幅を確保し続けたくて、コンサルへ

——マッコウクジラさんは新卒でコンサルティングファームに入社し、現在も戦略系コンサルタントとして働いています。コンサルと聞くと、とにかくかっこいい職業!というイメージなのですが、きっかけは何だったんでしょう。

もう社会人10年目くらいなんですけど、私が学生の頃は大学3年生から就活が始まってたんです。興味のある会社がなくて公務員試験を受けようかと悩んだのですが、とりあえず当時人気だったコンサルと投資銀行の両方を見てみようと、考えなしにインターンの波にのっかり、そのまま外資系の戦略ファームに内定しました。

マッコウクジラさん

——エリートコースでは。

給料とか肩書きじゃなくて、単純に、「将来をはっきり決めなくていい」のが魅力的だなと思ったんですね。20歳やそこらで自分が何を好きかなんて全然わからなくて、就活するにしても、業種だって絞れない。でもコンサルってひとつの業界に向き合い続けるんじゃなくて、いろんな業種と関われるので、メーカーだとか金融だとか、この業種だって決める勇気がなくても、ひとまず働けそうだと思いました。そうやって、とにかく人生の選べる幅を確保し続けながらやってきました。

——そもそも戦略コンサルって、毎日どんなことしてるんですか? 

基本的に、クライアント企業から「この経営課題を解決してほしい」とか「この新規ビジネスについて調査・提案してほしい」という依頼を受けて、それに応じて立ち上がったプロジェクトに所属して、そのプロジェクトが終わるまでがむしゃらに働く……の繰り返しです。一つのプロジェクトが発足するたびにチームが作られて、大体3カ月単位くらいで動いています。

スケジュール

——テレビドラマみたいですね。

はい、ワンクール乗り切る感じですね。常に見えるところにゴールがあるから、自分の中でモチベーションを保ち続けられるのが、この仕事のいいところ。私は飽きっぽいので、数十年単位でものを見るってことに耐えられなくて……。だから終わりが明確にある仕事が合ってるんですよね。それに、プロジェクトを通して初めて知ることもすごくあるので、面白いですよ。全然ルーティンじゃないところが好きです。だからこそ大変っていうのもありますけどね。

——スケジュールを見てると、なかなか忙しそうですね。区切りなくミーティングが入っている……。

プロジェクトの定例報告が1~2週間に1回あるので、その前夜は徹夜に近くなってしまうこともありますね。常にクライアントのいるサービス業なので、後回しにできる仕事が一切ないんです。全部最優先で対応しなければいけない緊張感はずっと続いています。

青春ゾンビだから、失われた青春を追い求めている

——忙しいマッコウクジラさんですが、ちゃんとオタク活動できる余裕はあるのでしょうか?

全然してます! もともと女子ドルが好きで、20歳の頃からハロー!プロジェクトやAKB48グループなど、いろんな女子ドルを追いかけてました。ハロプロだと昔は亀井絵里ちゃん、最近の子でいうと佐藤優樹ちゃんを推してます。

——女子ドルはどんなところが好きなんですか?

女の子同士できゃっきゃしてるところを見るのが好きです。今回の私の人生では叶わなかったけど来世ではこうありたい……みたいな願望もあるのかも。あとはやっぱり、きらきらして華やかで可愛いところですね。「青春ゾンビ」って言葉があるじゃないですか。失われた青春をずっと追い求めてしまうから、若い子が集まって命を燃やしているみたいなものを見ると泣いちゃうんです。

——じゃあスポーツなんかも好きですか?

それはだめなんです。運動音痴なのがコンプレックスだからスポーツは見れないんですよ。

——なるほど(笑)。

でもダンスは好きなので、「高校生ダンス選手権」とかは泣いちゃいますね……。私の中ではダンス選手権をずっとやってるのがアイドルなんです。
最近は女子ドルだけじゃなくて、BOYS AND MENも気になっています。オタクを名乗るほどには通えていないんですけど、吉原雅斗くんっていう最年少メンバーに注目しています。自分が歳を重ねるにつれ、男も女も同じように可愛く見えるようになってきて、男性アイドルも女子ドルと全く同じ目線で見られるようになってきたんです。もうアイドルのきらきらに性別は関係ないんですよね。

——BOYS AND MENはどんなところが魅力なんでしょう。

彼らは「名古屋の町おこしお兄さん」を自称してるんですけど、多分、「歌って踊るアイドルになる!」って若い頃から思って生きてきた人達じゃないんですよね。アイドルっぽくない人とか無口な人、ちょっと顔が怖い人もいますし……(笑)。でも、そういう人達が結束してエンタメ集団として全力でアイドル的な振る舞いをしているのが見ていて気持ちがいいなと思います。「俺らアイドルじゃねーから」みたいな変な自意識が全然ないんですよ。BOYS AND MENは学ラン着て、どこか泥臭さくて、曲もべったべたなんですよね。でもそこに心くすぐられました。

——激務のなかでも現場には行けるんですか?

私は何度か転職しているんですが、今の職場は、やりくり次第で行けますね。新卒で入った外資系ファームのときは、私のやりくりも下手だったんですが本当に時間がなかった……。職場のスタイルにもよるでしょうが、下積み時代は我慢しないといけない場面もあるとは思います。

——最初の職場からは、もっと時間が欲しくて転職したんでしょうか?

まあ、単純に疲れたからというのはありましたね(笑)。

——お疲れさまです……。

本当に大変だったので、このままでは人生がなくなってしまう危機感があったんですよね。土日は基本ぐったりで寝てたら終わっちゃうことが多かったので、もっと人間生活をすべきでは、と思いました。

——それで、普通の生活を送れそうな会社に転職した?

はい。おかげさまで、人間らしい暮らしができるようになりました。でも何より、本当にずっとコンサルとして働きたいのかどうか分からなくなっちゃったんですよね。コンサルって、圧倒的な「タテ社会」なので、その会社に居続けるなら、ちゃんと出世していかないとならない。でも、その会社で上のポジションで業務を続けていくイメージがあんまりなくて。コンサルを続けるにしても続けないにしても、一度違う会社に行かないと判断がつかないと思いました。それで2社ほど非コンサルの事業会社で勤務し、そこからさらに転職して、コンサル業界に戻ってきました。

——それは、何か転機があったんですか。

うーん、「生活」に飽きたからでしょうか(笑)。部屋を綺麗にして料理したりして……っていうのを真面目にやっていたんですが、なんか物足りなくなって。その間に趣味は色々楽しくやったんですけど。

——今は仕事しながら現場にもほどよく行かれてるんですか?

はい! この前も平日の夕方にしれっと抜けて『WADA fes~断れなかった仲間達~』に行ってきました。武道館で、和田アキ子さんの50周年を祝うっていうフェスです。BOYS AND MENもAKBも出るし竹内涼真も登場するし、ものすごく豪華で、めちゃくちゃ楽しかったですよ。

——えっ、和田アキ子に竹内涼真? すごい組み合わせだ……!

ちょっと変わった現場が好きなんですよね(笑)。ジャンルがごった煮な現場とか、何が起こるかわからないものだとか……。以前ラップにハマってた時に、品川庄司の品川さん主催でお笑いとMCバトルがコラボする「ディスペクト」っていうイベントを見に行ったんですけど、それもすごく面白かったです。R-指定やDOTAMAみたいなラッパーがその場に出てくる芸人を即興でディスって、うまくディスった方が勝ちっていうバトルなんですけど、これはぜったい神イベントだろうって確信して見に行きました。異業種間コラボみたいなイベントみたいなものだと普段見られないものが見られるので、そういうのはよく行きます。

——今の職場では周りにオタクいるんですか?

強烈な趣味を持ってる人っていうのはいるのかな。印象として、コンサルはあまりオタクが多い業種って感覚ではないかもしれません。エンタメ業界の案件もあるにはあるけれど、そんなに遭遇する機会はないので、それ目当てに入るのはおすすめしませんね。

ミーハー深読みオタクにおすすめ!? 戦略コンサル・マッコウクジラさんの場合「オタ女子おしごと百科」第9回-画像-03

ミーハー深読みTwitter長文オタクはコンサルに向いている?

——コンサルって、どんな人が向いてると思いますか。

これは、最近発見したことなんですけど……コンサルの思考回路って、深読みオタクの思考回路に近いんですよ。

——えっ……?

コンサルティングファームに入社すると、仮説思考とロジカルシンキングを死ぬほど叩き込まれるんです。初期仮説を立てて、それを検証して、うまくいかなかったらまた新しい仮説を立て直して……というサイクルの繰り返しですね。

——いわゆる「PDCA」ってやつですね。

深読みオタクって、まず「えっ、この二人って付き合ってるんじゃない?」って仮説を立てて、それを確認するために原作をもう一度読むじゃないですか。これは仮説を検証する作業ですよね。ここがメタファーになってるんじゃないかと推測したり、「……ということは?こいつはあいつのことが、好き?」とかって、二人が付き合ってる証拠を取りに行ったりする。その一連の流れは仮説思考なんですよ。深読みオタクや考察オタクの行動は、コンサルとやってることが一緒です。

——なるほど……!

あとは、理屈っぽくて、言語化するのが好きな人にも向いてると思います。とにかくディスカッションしたりプレゼンしたり資料にしたり、言語化の嵐なので、Twitterで140字投げ続けるのが好きな人には適職かもしれません。それと、やっぱり私のような飽きっぽい人でしょうか。ミーハー深読みTwitter長文オタクにも合ってると思います。

——じゃあコンサルティングファームは、オタクにおすすめの職場と言っても良いんでしょうか。

おすすめって言いたいけど、やっぱり忙しくはあるんですよね。だから時間がたくさん必要なタイプのオタクジャンルにはあまり向かないと思います。けど、逆にやってることさえやってれば平日に抜けたりもできるようになるので、フレキシブルに時間を使えるという意味ではおすすめです。

——うまく時間を使える職場って魅力的ですね。

私も出戻りしてますし、中途採用で業界に入ってくる人も結構いますよ。

——経験がなくても入れるものなんですか?

私も面接官をすることが多いんですが、20代半ばから30代半ばに中途採用で入社してくる人も多いですよ。経験がなくとも、面接で仮説思考やロジカルシンキングの能力が示せれば大丈夫です。コンサルの選考は「ケース面接」ーー例えば「ハンバーガー店の売上を倍にするには?」みたいな事例・テーマが与えられて、それに自分なりの解決案を提示する面接が大半なんです。これはケースブックもたくさん出ているので、丸腰で行くよりは対策した方がいいです。
でも対策されることは面接官も分かっているので、そういうベースがあった上で、その人ならではの新しい視点が見えると嬉しいです。中途の人は真っ白な新卒と違って色がついてるぶん、そこが強みにならなければいけないと思うので、「前職でこういうことやってたんでこう考えたんですけど」みたいな、その人のバッググラウンドがあってこその意見が聞けると、一緒に働きたくなります。

信頼している人と誠実に仕事していると、いつか未来で繋がるかもしれない

——マッコウクジラさんは一度違う業界に転職してから再びコンサルファームに舞い戻ったわけですよね。「生活に飽きた」と言っていましたが(笑)、他にコンサルファームの魅力を教えてください。

私が今勤めている会社は女性がかなり多いんですけど、社員への評価がフェアなんです。スキルの低い人がより優秀な人の上に立つようなことは基本的にあってはならなくて、社内でのランクづけが徹底されています。そこには年次も性別も経歴も何も関係ないんです。
事業会社にいた時は、チームリーダーだからってその人が一番優秀だとは限らなくて、みんなで得意なところを分け合って分担していこう、という文化でした。出世に関しても、「この人は家庭もあるしそろそろ出世させてあげよう」とか「女性より男性の方がマネージャーになりやすい」とか、不透明な理由で評価が上がったりしますよね。そういう企業は多いと思うんですけど、コンサルティングファームではそういうことが少ないんです。純粋に仕事のパフォーマンスだけで評価されます。もちろん理想論だけでは立ち行かないこともありますけど、そのフェアな部分を絶対に守ろうというポリシーがあるところが好きです。

——公平でもあるけど、とてもシビアでもありますね……! 最後に、今、転職を悩んでいる人に向けてアドバイスがあればお願いします。

私は仕事が自分に合っていないなと思ったら、我慢せずすぐ転職しちゃいます。人間、自分に向いてることをやるべきなんですよ。苦手なことを無理してやろうとしちゃいけないんです。能力がオールマイティーな人はいいんですけど、いびつだって自覚してる人は、違うと思った時にぱっと方向転換する速さが大事だと思います。私もいびつなタイプなので、自分に向いてないことをやってる時の効率最悪なんですよ。だから、もし、できるようにならなきゃいけないって思いに縛られて仕事を続けてるんだとしたら、それはあきらめた方が良いかもしれません。この環境は違う、向いてない、と思うんだったら、転職を考えていいんじゃないでしょうか。

——なるほど。苦手なことを続けるより、身軽に転職を……。

ただ、背水の陣みたいな感じで全てを捨てて転職するような、大きなリスクを取るやり方はやめた方がいいと思います。新しい転職先で追い詰められてしまうこともあるかもしれないし、身軽に動くぶん、いつでも前の職場に戻ったり、また転職できるような体制を整えておく方が良いです。とにかく、常に身軽に動けるよう選択肢をいくつか確保しておく。変なリスクは取らない。そうすることでいつも自由に働いていられるんじゃないかと思います。特に私みたいに気が弱い人は、そうした方が良いです。

——何度か転職経験のあるマッコウクジラさんだからこそ言えるアドバイスですね。

一つつけ加えるとしたら、その時その時の職場で、信用できる人とは誠実に仕事をしておくといと思います。自分だけじゃなくて周りの人間も転職したり起業したりしていくので、またいつどこでどう繋がるか分からない。何年後かに元同僚が起こした会社に呼ばれる可能性だってあります。今は転職しないけどいずれは……って考えてる人は、そういうことを意識しながら働いてもいいのかなと思います。みんながいろんなところで働いているので、いつか未来で繋がるかもしれませんからね。

——ありがとうございました!

★マッコウクジラさんのおもな浪費

1)ライブ:1回2~3万円(遠征費・グッズ代込み)

BOYS AND MENが来年1月にナゴヤドームでライブをやるので、熱心なオタクの友達にチケットを取ってもらいました。席を埋めなきゃという義務感で2枚買ったんですが誰と行くか決まってなくて……もし興味ある方がいればぜひ!(笑)チケ代&交通費、出します!

2)整体・鍼灸・マッサージ:2~3万円/月

基本的にPCに向かっているので肩こり&眼精疲労がやばくて……自分にぴったり合う「神の手」を求めてジプシーし続けています。本当は適度に運動するのが一番いいとは分かってるんですが、ただ横たわっているだけでスッキリするのでやめられない……。

3)電子書籍:1~1.5万円/月

書籍に関しては完全電子派で(物が増えると片付けられないので……)、週末になるとKindleストアで何かしら買ってます。意識が高まっている時はビジネス書やその時やっている仕事に直結しそうな本、反対に心が疲れている時はBLか仏教の本を購入しがち。

前の記事はこちら

BTSのMVが「勉強」に!

(メインイラスト:kamochicさん)

  • 劇団雌猫
  • プロフィール

    劇団雌猫

    平成元年生まれのオタク女子4人組。「インターネットで言えない話」をコンセプトに、オタク女子たちが胸のうちを告白した同人誌「悪友」、その書籍化となった『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話―』(小学館)が話題。20〜30代女性の幅広い共感を得ている。

関連記事


この記事はいかがでしたか?
よろしければアンケートにご協力ください。

TOPに戻る

  • LINEで送る
  • はてなブックマークに追加
  • +1する
  • POCKET
  • facebook
  • ツイートする