東大生クイズ王・伊沢拓司率いるQuizKnock。YouTubeでウケるヒントはテレビ番組?

2019/01/10

WRITERテキスト:トライアウト・黄田 駿/撮影:野田 真

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東大生クイズ王・伊沢拓司率いるQuizKnock。YouTubeでウケるヒントはテレビ番組?

「身の回りのモノ・コトをクイズで理解する」をコンセプトに、話題のニュースや役立つ情報を発信するWebメディアとチャンネル登録者数40万人を超えるYouTubeチャンネルの2本柱で支持を集める頭脳派集団「QuizKnock」。いかにしてQuizKnockがスタートし、人気を得ていったのか、東大生のクイズ王・伊沢拓司さんと動画のプロデューサー福良拳さんに話を伺いました。

能動的に情報を摂取できるのがWebメディア

――QuizKnockの活動内容について教えてください。

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伊沢:Webメディアとして記事の配信とYouTubeの動画配信を中心に、イベントやテレビ番組、雑誌などへのクイズの出稿も行っています。僕がWebメディアの編集長で、福良さんがYouTubeの責任者といった役割です。

――多岐にわたる活動なんですね。QuizKnock発足の経緯は?

伊沢:僕は13歳の頃からクイズをやっているんですが、クイズを通して多くの人に出会えましたし、色んな経験ができたので恩返しをしたいと思ったのがキッカケです。それにクイズは幅広い世代の人に親しまれ、遊びでも競技としても楽しめます。カルチャーとして成熟しているのに、世間からあまり注目されない、どちらかと言えば日陰の存在だと思っていて。それで当時流行っていたキュレーションメディアとクイズを掛け合わせれば、能動的に情報を摂取できる新しいメディアが作れると思い、作ったのがQuizKnockというサービスです。そのコンセプトが固まってから、リリースしたのがそれから1カ月半後ですね。

――かなりハイスピードだったんですね!

伊沢:そうなんですよ、僕自身もよくやったと思います(笑)。アイデアベースで他人に奪われてしまったら元も子もなかったので、1日でも早くリリースしたかったんです。

――YouTubeチャンネルを設立した経緯は?

伊沢:ショート動画メディアが流行っていたので、動画を使って発信したいとは思っていましたが、まさかYouTubeチャンネルを作るとは(笑)。チャンネルを作りたいと言ってきたのは、福良さんなんです。

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福良:YouTuberを好きでずっと見ていたので、クイズとYouTubeを掛け合わせみれば面白いことができるんじゃないかなと思っていました。でもチャンネルを作りたいって言った時は伊沢さんに反対されました(笑)。
     
伊沢:したね(笑)。限られた資材や人材をYouTubeに投じるのはリスキーすぎると思っていたんです。でも反対したのは僕だけで……。僕が反対した企画って大抵上手くいくんですよね(笑)。

――どのタイミングで注目が集まりましたか?

福良:伊沢がテレビに出演していたので、最初の壁と呼ばれるチャンネル登録者数200、300人は2週間でクリアできました。

伊沢:そこはラッキーでしたね。それと5本目で代表作といえる、僕が出演させてもらっていたクイズ番組「東大王」のパロディー動画「東大主」を作ったら、バズって知名度がぐんと上がりました。番組サイドもすごく良くしてくれて拡散してくださったのも大きかったですね。好スタートを切れたものの、動画の数も少ないし、出演者も僕1人。演出はもちろん、喋るノウハウもなかったので、それからどうしようかと悩みました。

テレビ番組を参考にした動画制作

――どうやってその問題を解消していったんですか?

伊沢:今も続けてるんですが、毎日2、3時間はYouTuberの動画を観るようになりました。インプットの量を増やして、気づいたことを動画作りに取り入れていきました。何より印象的だったことは、ヒカキンさんだったり人気のYouTuberは、常に笑顔なんですよね。ボソボソっと喋ったり、落ち着いたトーンだと観てくれている方も笑ってくれないなと反省しました。

福良:YouTubeもそうですが、クイズ番組も参考にしています。クイズを解答したら終わり、ではなくてお笑い芸人さんがボケた後に次の問題にいったりするので、そういう笑いの部分も意識するようになりましたね。演出者目線でテレビを観ると、緻密に作れていることが分かって勉強になります。

伊沢:視聴者は僕たちを見たいんじゃなくて、面白いものが見たいんだと思うんですよね。笑いの部分もそうですが、1本の動画を観てもらったら必ず持って帰れる知識を盛り込もうと思って作っています。それこそが僕たちがYouTubeをやる意味なんだろうなって。「賢くさせよう」ではなくて、「楽しいことを見ていたらいつの間にかちょっと賢くなってた」みたいなのが理想的なスタイルですね。

福良:うんうん、そうだね。そのことに気付けるまで1年くらいかかったよね。最初はコンセプトがなくて、ブレブレでした。

――なるほど、他のYouTuberやテレビを参考にしつつ、自分たちのスタイルに落とし込まれているんですね。動画を作る上でのルールはありますか?

福良:僕たちはクイズ好きが集まっているので、クイズ的な要素や知識を使ったものですね。先日もリズムゲームの企画があったのですが、知識や知恵を使う要素がなかったのでボツになりました。

――クイズを思いつくことと企画を考えることは似ていますか?

福良:クイズを思いつく瞬間って、ノルマを与えられてから作るパターンとたまたま何かを知ったり気づいた時にふと考えついた時の2パターンだけだと思っていて。

伊沢:クイズは事実を元に作るので、時間さえかければ無限に作れると思います。クイズをこなせばこなしただけ、解けるようになりますし、作れるようになるんじゃないですかね。

福良:YouTubeの企画は、机の上で頭をひねるというより常にアンテナを張っている感じ。何かを知った時にこれは企画にできるなと思うこともあれば、他のYouTuberがやっていることを、東大生がやればもっとすごいことができるなと思ってアップデートしたり。

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伊沢:最近になってようやくある種のヒットパターンが分かってきたかもしれないです。これにぴったりとハマる題材を見つけるのがまた難しいんですけど。例えば、誰でもできることを、スピードを上げてやってみる、難易度を上げる、過酷な条件下でやる、そのどれかにハマっていればある一定の再生数はいくかなと思っています。

福良:これは僕たちにしかできないことだもんね。それと企画の大枠を思い付いてから、企画内容に沿ったクイズを考えることが多いですね。今までにやった企画で言うと、聖徳太子の逸話をモチーフに2人で別々のクイズを同時出題しても2問とも正解できるのかという企画(「【東大生の聖徳太子超え】あなたは聞き取れる?同時に話しかけられるクイズ!」)。その時は全く別のクイズを2つ作っても意味がないので「〜ですが」の部分をハモるように問題の長さが合わせたものを考えました。難しいけど、それが楽しいですね。

伊沢:あとは解説を付けるのが大変だよね。どう伝えたら分かりやすいかは常に考えています。

ヒット動画を作るコツとは

――今までで一番再生数が多かったのはどの企画なんですか?

伊沢:東大生がバカ大の入試問題集を解くという動画(「【炎上しないで】東大生が日本一バカな大学の入試に本気で挑戦したらどうなる?【想像以上の実力】」)ですね。実際には『バカ田大学 入試問題入試問題 冷やし中科』というなぞなぞみたいな問題集を解くだけで(笑)。タイトルに「炎上しないで」と書いてあるので一種の釣り動画です。

――分析するならその動画の何が良かったと思いますか?

伊沢:一番は福良さんのタイトルセンスだと思います。

福良:キャッチーだったもんね。タイトルだけ読むと、東大生が悪いことしたの? とか一番頭が悪い大学ってどこなんだろう? って興味も湧くんだと思います。

伊沢:テレビだと観る前に、ある程度の内容が分かると思うんですが、YouTubeはサムネイルとタイトルだけなので、刺激の作りやすい構造なんですよね。

福良:そうだね。その一方ですごく面白いと思った動画ができても、そのエッセンスを上手くタイトルに落とし込めていないと再生数が伸びなかったりするんですよね。

――タイトルやサムネイルの重要性に気づけたのは、Webメディアをされていたからこそなんでしょうね。

伊沢:早い段階で気づけたのは、そうかもしれませんね。ライターに本文を書いてもらうことはあっても、タイトルは全部僕が考えていたこともあるので重視していました。タイトルで当たった記事もたくさんあるし、外した記事もたくさんありますね(笑)。

福良:ただWebの記事よりYouTubeの方がより顕著だなとも思いますね。8割方、タイトルとサムネイルで決まるよね?

伊沢:サムネとタイトルで公開が遅れることもよくあるもんね。

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福良:あるある(笑)。動画は出来上がってるのに、どうするかをずっと相談してますね。他のYouTuberさんであれば、何時に公開する、と設定されてると思うんですが、僕たちはそれができないんですよ。区切りを決めた方がいいのは分ってるんですが、まだそこまでの勢いがない。

――時間をかけて作ったものなんですから、そこをないがしろにして無駄にするわけにはいかないですもんね。先ほどの「バカ大」の企画は、タイトルもさることながら内容も面白かったです。

福良:本当ですか? ありがとうございます。小学生が出しそうな意地悪問題ばっかりで、普通だったら絶対に引っかかるはずなのに伊沢さんたちはなぜか解けるんです。しかも東大生がムキになって早押しで答えてるのがコミカルで面白いんだと思います。

伊沢:楽しめる内容だけど、僕たち的には手をかけて作った動画ではなかったのでここまで伸びるとは正直思ってなかったです。入試問題をガチで解くシリーズとか時間をかけて作ったものの方が、再生数伸びる傾向にあったのでびっくりしました。

――嬉しい誤算だったんですね。あの企画のタイトルは他と比べて異質ですもんね。

クイズは知らない人とつながるきっかけにもなる

――お二人にとって、クイズの魅力は何ですか?

伊沢:殴り合い的な楽しさがあると思っているんですよね。スポーツやゲームは厳密なルールがあって、勝負というものをルールで薄めて、その希釈を楽しむものだと思っていて。それも好きなんですけど、クイズは早押しで正解した方が勝ち。同等の知識だったら、いかにスピーディに判断して回答権を得るかというのが勝負の決め手になるんです。そこに原始的な勝負の醍醐味を感じられるんですよね。

――なるほど、居合抜きやガンマンの打ち合いのような感覚なんですね。

伊沢:まさにそうなんです。でも感じている魅力は人それぞれだと思います。福良さんはどう思ってるの?

福良:希釈とか考えたこともなかった。僕は「高校生クイズ」を観て、知らない言葉を答えてるのがカッコいいなと思ったのがクイズを始めたきっかけです。

――皆さんはクイズが習慣化されていると思いますが、クイズのメリットは何ですか?

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伊沢:視野が広がることですね。さまざまな情報があふれている中で、興味のないことももちろんあるんです。でも、そんな時にクイズが「知っておいた方がいいぞ」と背中を押してくれるので何でも知ろうとするんですよね。それこそ僕が中学生の時は、あまり音楽を聴かなかったんですけど、イントロクイズで勝ちたいと思って色んなジャンルの音楽を聴き漁ってから音楽の良さに気づきました。

福良:知識が増えることで、初対面の人でも話しやすいんですよ。知識の幅が広いのでサーフィンや盆栽が趣味の人であっても話すきっかけくらいは作れるんです。それに僕らもその分野の知識をどんどん増やしていきたいから質問もしやすいですし。

伊沢:聞き上手になれるよね。知識がないとどう質問していいか分からないもんね。

――知識量の差はありますが、本質的にはライターと似ているかもしれませんね。僕自身もクイズに詳しくなかったんですけど、お話を聞いていてどんどん興味が湧いてきました。

伊沢:ちょっと知識があると面白いですよね。カレーを食べても「ここはクミンが多いな」とか、「北インドのカレーだな」とか、分析できるというか。

――まさにそうですね。今後のQuizKnockの活動は?

伊沢:僕は今年卒業してからは、QuizKnockとして教育事業にももっと力を入れていきたいです。それとクイズを使った学びのイベントなんかも積極的に行っていきたいですね。クイズファンの方はもちろん、そうじゃない人たちも気軽に参加できるような大きなクイズ大会もやってみたいね。

福良:そうだね。クイズのフェスみたいなのも面白そうだね。

伊沢:どんどん夢が広がるね。


QuizKnock
東大生のクイズ王・伊沢拓司さんが主宰する「身の回りのモノ・コトをクイズで理解する」をコンセプトとした東京大学発の知的メディア。 話題のニュースやお役立ち情報、マニアックなテーマまで、幅広い情報をクイズ形式で発信する。

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