「青春ラジメニア」放送30周年。ラジオ番組とラノベのファン層は似てる?

2019/04/11

WRITERテキスト:トライアウト・黄田 駿/撮影:トライアウト・舟田知史

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「青春ラジメニア」放送30周年。ラジオ番組とラノベのファン層は似てる?

関西出身・在住のアニメ好きなら一度は聴いたことがあるのでは? ラジオ番組「青春ラジメニア」(ラジオ関西)が2019年4月で放送開始30周年を迎えました。前身の番組からファンだという海猫沢めろんさんが、パーソナリティの岩崎和夫さん(岩ちゃん)と南かおりさん(かおりん)に、30年続く秘訣を聞きました。
ラジオ番組とラノベのファン層が似てるってどういうこと?

30年の長寿番組。その秘訣とは

海猫沢:「青春ラジメニア」が放送を開始して30周年。前身となる「アニメ玉手箱」から聴いていたので、今回出演できて光栄です。本日はお二人とビジネスの話がしたかったんです。

南:ビジネスですか? ラジメニアには似合わない(笑)。

海猫沢:30年にわたって番組を続けられた秘訣ってなんなんだろうって。「ファンのお陰です」っていう定型コメントが事実だとしても裏にはビジネス的な面もあるはずで、今日はそのリアルなことを聞きたくて(笑)。

一同:(笑)

海猫沢:視聴者と会社の支持がないと終わってしまう、そういうシビアなラジオ業界で30年続けるってすごいことですよね。しかも、かなりマニアックな番組なのに!

岩崎:番組を続けてこられた一番の理由はスポンサーですね。(『青春ラジメニア30周年記念 アニバーサリーブック』を読みながら)これを観てもスポンサーゼロの時はほとんどないんです。番組がスタートした89年は、まだバブルの名残があって(笑)。

海猫沢:いい時代だったんですね。90年代はギリギリ、バブルの余力で何とかなったとしても、その後の不況も乗り越えられたのは何かあるんですか?

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南:20年目を越えた辺りから、番組に手出しができないオーラが出てきて(笑)。

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岩崎:そんなに儲かっているわけじゃないけど、簡単に打ち切れないぞ、みたいな雰囲気があったかもしれないですね。ラジオ全体で言ってもパーソナリティメインの音楽番組ってあんまりセールスにならないですよね。リクエスト曲を流しているだけでは聴いてくれないんです。

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海猫沢:特に今は「Spotify」や「Apple Music」といった音楽配信のサブスクリプションサービスがありますしね。昔はインターネットがなかったから、ラジオの中にコミュニティがあった気がしていて。良く聴く番組だとリスナーのラジオネームって覚えるんですよ。それでイベントに行ったときに初めて顔を合わせて仲良くなるっていうオフ会的な機能があったと思うんだけど、今はネットがその役割を担うようになってきた。

南:TwitterとかSNSでできちゃいますからね。

アナログを貫くスタイルが魅力!?

海猫沢:世間的には阪神・淡路大震災が起きた1995年がインターネット元年と言われているんですけど、僕の実感だと2000年頃から一般家庭に普及してきたイメージがあるんです。その時期に、リスナーの雰囲気や番組制作って変わりましたか?

岩崎:そうですね。ラジメニアのリスナーって先進的な方が多くて、ADSL前の電話回線の頃からSRD(青春ラジメニア同好会)という掲示板を作ってくれたんです。昔のBBSみたいな感じですね。

南:ニフティとかパソコン通信の時代ですね。

海猫沢:確かに当時のオタクは、割とパソコン通信をやってましたね。

岩崎:リスナーはそれぞれネットを活用してるけど、ラジメニアの放送自体は何も変わってなかった。リクエストは未だにハガキとFAXだけです(笑)。

南:申し訳ございません。お便り以外のメールは不導入でございます!(笑)
でも最近はTwitterで「#radimenia」の書き込みを番組が終わってから読んでいます。

海猫沢:めっちゃアナログ(笑)。昔のリスナーは慣れているだろうけど、若い人たちは……。

南:はっきり言って面倒くさいと思います。

海猫沢:どこもそうなんですけど、ラジオの長寿番組で特に問題になっているのは、昔からのファンはいるんだけど、新しいファンが入ってこないということ。

南:リスナーの高齢化ですよね。

海猫沢:今の10代の多くはラジオよりYouTubeを見ちゃうと思うんですよ。昔の深夜ラジオのDJって、今でいうYouTuberと同じ役割だと思うんですよ。

岩崎:確かに! そうかもしれないですね。ラジメニアでもたまに高校生からお便りやリクエストをもらうこともあるんですけど、なかなか長続きしないんです。リクエストしてもなかなか選曲されないし……って諦めてしまうのかも。

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南:「メールはダメなのかい!」みたいな。

海猫沢:そこがネックですよね(笑)。

岩崎:ラジメニアは特に面倒くさい!(笑)
ペンネームは20文字以内とかルールがいろいろありますからね。

南:ラジオ関西に「アニたまどっとコム」という声優さんの番組があるんですけど、そこはグッズの収益がすごいんです。声優さん自体に人気があるので、CDや番組の公式Tシャツの販売はもちろん、イベント企画するとすごい数の人が来るんですよ。

海猫沢:バンドもTシャツの収入がメインだし……、やっぱり物販が強いんですね。

岩崎:とはいえ、ラジメニアは今までそういったことにチャレンジしてなかったんですけど。

南:やっていこうよ!

岩崎:物販もそうだし、アニソンシンガーや声優さんのイベントをラジメニアでプロデュースできればいいんですが、なかなか難しい。

海猫沢:アニサマ(Animelo Summer Live)みたいなフェスをやってほしいですね!

南:「ラジメニアのフェスをやってほしい」ってよく言われるんですよ。ただ関西の集客は難しいですよ。「この豪華なメンツでチケットが売り切れないの?」ってライブがめちゃくちゃあります。

岩崎:東京でやったら即完売のはずなのに不思議なんですよ。関西でそういった文化が根付かなかったのも、僕たちが先頭に立ってやって来なかったからなのかなって少し後悔があって。

南:そういったイベントをするにしても、お金がかかりますからね。

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岩崎:各番組にプロデュース能力が必要になってきた気がしますね。DJ自身もしっかり収益を上げられるコンテンツを生み出さないといけない。何でもかんでもラジオ局に任せっきりじゃダメなんだって思います。

南:でも番組と局とが協力し合えるのが理想的なカタチだと思う。リスナーを理解している現場の人と局の人たちが情熱を持って取り組めたら、より面白いものが出来上がるんじゃないかなって。この30周年のメモリアル本だって現場だけでは絶対にできなかった。こうやって番組サイドと局が協力して、何かを作れるって出来上がってみてすごく幸せなことなんだなって思いました。

岩崎:選曲が変わったりはしたけど、基本的なところは30年前と一緒。それが今まで続けて来れた理由なのかもしれませんね。

ラノベとラジオのファン層は似ている?

南:今回、放送時間が1時間になるタイミングで、リクエストの方針を変えようと考えているところです。長年のリスナーにどれくらい受け入れられるのか不安ではありますね。

岩崎:3時間の放送でも、どんどん新曲がリリースされるからかけきれていないんです。さらにこれを絞るとなると心苦しい。なんかいい方法がないかと、ずっと悩んでいます。

海猫沢:その気持ちすごく分かります(笑)。出版業界も同じで、本を書いたら、あとは出版社が何でもやってくれる時代は終わったんです。営業にも著者が関わっていく方向になってきています。

南:そうか、出版業界も厳しいって言いますもんね。私たちもサイン会しに行きますよ!

海猫沢:結局、どの業界もそうなって来てますよね。

岩崎:これからさらに放送の概念が変わっていって、ネット配信するコンテンツになってくるのかなっていう気はしますね。コンテンツとして魅力があって、それがビジネスとしても成立するのが理想的。ただラジメニアがネット配信になった時に、リクエスト方法がハガキだけってのも変だよなって(笑)。

海猫沢:違和感がすごい(笑)。

岩崎:そうなるとラジメニアのコンセプトが、どこまで通用するのかなって。僕らが子供の頃のラジオの深夜番組ではビートルズもかかれば、演歌もかかるんですよ。だから、好きなジャンル以外の音楽を知るきっかけにもなったんです。

海猫沢:ラジオの魅力ってそこですよね。自分の引き出しにないものが得られる。僕も東京でラジオをやった時はその体験をリスナーにもしてもらいたいから、色んなジャンルを混ぜたんですよ。ラジメニアの価値って「こんな曲があるんだ」とか「懐かしい曲だな」って思ってもらえることだと思うんです。今のリスナーって何歳くらいが多いんですか?

岩崎:リクエストくれるメインターゲットは30、40代です。

海猫沢:僕と同世代ですね。1989年から95年の間に熱心に聞いていた人が聴いてくれてるのかな。

南:一旦離れていたけど、ほかの地域の番組も聴けるラジオアプリのradikoが出来てから帰ってきてくれた人たちが多いですね。

岩崎:ちらほらと中高生らしき人もいますね。ただ、潜在的にどれくらい若い人が聞いているのかっていうのは分からないですよね。

南:サイレントリスナーが多すぎて、はっきりとした数は分からないですね。

海猫沢:今の聴取率の基準って何なんですか?

岩崎:従来は戸別訪問をし調査票を配って、1週間なら1週間のメディア接触記録を記入してもらうという、アナログな調査でした。

南:最近はradikoのダウンロード数も重視されていますよね。

岩崎:radikoってタイムフリー機能があるから、コンテンツに魅力があれば放送時間に関係なく聴いてもらえるんです。

海猫沢:リスナーの方には、ラジオじゃなくてradikoで聴いてもらいたいですね。コンテンツ力を高めるためにユーザーベースで考え出すと、いわゆるファンビジネスみたいなことになっていくじゃないですか。でも、ラジメニアのリスナー層の40代がこれから爆発的に増えるってことは難しい気もするんですよね。

南:そうなんですよ。その人たちもやがて50、60代になりますからね。

海猫沢:SF小説やライトノベルもそういう流れになっていて。ラノベの購買層は昔から二つの山があって「中高生」と「中年」だって言われてるんです。

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中高生のときに読者だった人が30、40代の大人になってお金に余裕ができてまた購買者になる。最近ではラノベでも大人が書いたものがウケることがあって、「転スラ(『転生したらスライムだった件』)」は、作者がゼネコン勤めのあと、自分の体験を踏まえつつロマンを描いたら、幅広い世代にウケたということもあります。

岩崎:なるほど(笑)。そうだったんですね、面白い。

岩崎:僕の持論ですが、コンテンツ力を高めるためには次の世代にバトンを渡すことなんじゃないかなって。僕自身ももう降りたほうがいいのかなって思います。

海猫沢:でも逆に若い人を無視して、オタク老人会的なものを組織するという方向もあると思います(笑)。

一同:(笑)

岩崎:それはそれで作ればいいと思うんですけど、30代や若い人たちが聴き続けてくれるためには、かおりんの世代に任せるのがいいのかな。世代交代を繰り返していくというか。

海猫沢:ファンとしてはそれはそれで寂しいな……。お二人がいなくなったら、もう別の番組をやったほうがいいって判断になるじゃないですかね?

南:岩ちゃんじゃないとラジメニアではないですよ。

岩崎:ラジメニアというか、ラジメニア的なもの? アニソンや特ソンを聴いて「懐かしいな、あの頃はよかった」ってリスナーに思ってもらうためには、同じ青春時代を過ごしたパーソナリティじゃないと語れないと思うんですよ。ラジメニアっていう名前を別に残すんだったら、老人が聞くような番組にした方が……(笑)。

南:それはまたよくよく考えてね。31年目のラジメニアはこのまま突っ走っていきますよ!


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