2019/04/15

ライターのキャリア相談。転職するなら時代を先取る業界がいい?

ライターのキャリア相談。転職するなら時代を先取る業界がいい?

Zing!編集部

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Zing!で『オタ女子おしごと百科』を連載中の劇団雌猫さんのイベント「よいこのおしごと」にも登場、キャリアコンサルタントとして活躍する西尾理子(にしお・みちこ)さんにライター職のAさんが転職相談してみました。ライターだけに留まらず、編集者やカメラマン、専門的な職種に就く方にも必見!

相談者プロフィール 29歳(男性)
2011年~2015年 某演劇団にて俳優業を営む
2015年~現在 編集プロダクションで編集・ライター業務を担当。

西尾せんせい(以下、西尾):Aさんは今の会社でどんなことに悩まれていますか?

――仕事内容は満足しているんですが、今はお金も時間も余裕がないです。ゆくゆくはフリーランスになりたいんですが、一度転職してからがいいのかなと思っています。

西尾:なるほど、その悩みは「忙しくてもいいけど、もっと稼ぎたい(時間より給与を優先)」か「給与はこれくらいでいいけど、時間に余裕が欲しい(給与より時間を優先)」なら、どちらの思いの方が強いですか?

――前者の「時間より給与を優先」したいですね。ライターや編集者として(下請け的な)実務作業が多くて、そこからステップアップして出版社や広告代理店といった発注者側になるのが理想です。

それであれば、自社内でマネジメントなど役職を上げて給与を上げるというよりも、業界のピラミッド構造の中で発注側、意思決定側の企業に移るイメージが近いかもしれないですね。そのように、会社を変え仕事のレイヤーを上げる(上流工程に近づく)ことが叶うケースもありますし、実は身を置く業界を変えることで仕事のレイヤーや年収を上げられる場合があります。「産業革命にならう」とも言えるかもしれませんが。

――「産業革命にならう」ってどういうことですか!?

Aさんのような編集者やライター職の方が多く働く出版業界は、今どんどん紙からネットに移っていっていますよね。紙メインの業界にいらっしゃる方には失礼に聞こえるかもしれませんが、これからキャリアの選択肢を広げようと考える場合には、シュリンクしていく業界・業態よりは伸びている産業の側で経験を積む方が、後々の可能性も広がりやすいです。そして伸びている業界は業績が上がっている企業も多いので、自然と個人の年収レンジも上がるケースが多いです。その上で、どちらかだけの経験をされている方よりも、紙媒体もWeb媒体もどちらも経験しているという方は希少性もあって採用側のニーズも高まるかもしれないですね。

――伸びている業界に移ることで今後転職する際の選択肢も広がるし、給与が上がるかもしれないということですね。

そうですね。成長している先端の業界・企業で経験を積むことで、今後、今は想像もできないような新たなビジネスモデルが出てきた時にも、その時々の先端のものをキャッチアップできる可能性は高まるかもしれません。

「給与より時間を優先」させるなら?

――「給与より時間を優先」したい場合はどうしたらいいんですか?

「自分の自由な時間を増やす」という意味では、フリーランスも一つの手です。ただ実際にはフリーランスになられた方の悩みの多くは仕事がないことよりも、風邪をひいても代替がきかないので休めない、複数の発注元からの納期に追われてしまっている、会社員時代の方が定期的に休みは取れていた、と忙しすぎることに悩まれている方も多いです。なので、この場合でも自分で納期を決める側(発注者側)に進む方が、「自分の自由な時間を増やす」ことには近いかもしれません。

――なるほど、とは言え発注者側でも忙しい企業は多そうですよね?

クリエイティブな業界はどこも忙しいようなイメージがありますが、例えば大企業の社内広報誌など、収益を最優先に考えない部署だと時間に余裕があるかもしれませんね。そういった所でクリエイティブな経験を活かすのも選択肢の一つです。

フリーランスになる最良のタイミングはどんな時?

ライターのキャリア相談。転職するなら時代を先取る業界がいい?-画像-01

――フリーランスになるタイミングはどうやって見極めたらいいんですか?

人それぞれではあるんですが、独立された方も多く見てきた立場からしますと、年齢や経験年数などで測れるような「いつが良い」というタイミングはあまりないかもしれません。ただし、独立するので仕事をくださいという状況の方よりは、組織に属していながらもバイネームで数多くの依頼が舞い込んできているという方のほうが独立しても成功しやすいと思います。ここからは景気の変動もあるかと思いますので、多少慎重に考えた方がいいかもしれませんね。

順番の考え方もありまして、フリーからやはり会社組織に戻ろうという転職は少々ハードルが上がる場合もあるのですが、フリーになるのはいつでもできますので。景気に左右されずに食べていけるだけの力を身につけるまでは、組織にいるからこそ出会える仕事で経験や実績を積んで、そこから生まれるや人との出会いなどで独立するための準備をした方が得策かと思います。

珍しいキャリアでも伝え方次第で武器になる 

――僕は大学を卒業してから5年間演劇をしていました。こういったキャリアは転職活動中に伝えない方がいいんですか?

それはかなりオリジナリティのあるキャリアですので、アピール次第では転職の武器になります。私も過去にいわゆる夢追い人の方たちの転職をご支援したことがあるのですが、こういった方々はベンチャー企業などで活躍されている方が多いんです。

――ウィークポイントなのかなと思っていたので意外でした。どういったところが企業の高評価につながるんですか?

ただ単に「バンド活動やっていました」だけだと、一般の方からすると不透明な世界なのでスルーされる可能性もありますが、珍しい経験でも仕事とリンクさせて、相手に分かりやすくアピールするのがポイントです。経験された場所には体育会系な礼節だったり、理不尽にも見える上下関係があったかもしれませんし、いろいろな関係者と協業する世界だと思うんですが、それは他の仕事にも活きる経験です。厳しい世界でも耐えて目標に向かっていたのであれば、多少辛い仕事であってもやり抜くことができる忍耐力の証明にもなるかもしれません。
ただし、こういった経験をアピールできるのはご年齢にもよります。40歳になってアピールしようとしても既にその業界でのご経験が長すぎてなかなか転職先で転用できない方も多く採用側からすると敬遠されがちです。ですが、20代の方などである程度の年齢で見切りをつけたということであれば、自らの意思で行動し終わりを判断したということも含めて評価されやすいですね。

退職交渉は根気強く!

――円満退社する方法はあるんですか? 今後も同じ業界で働くのであれば良好な関係を築いて退職するのがベストかなと思っているんですが。

これもそれぞれの企業のスタンスや個々人と会社との関係性などで変わってくるかとは思います。一般的には、職を失うというリスクを避けるために、次に行く会社を決めた後か、少なくとも正式に内定をもらった後で、現職企業に退職の意向を切り出す方が多いです。その際に一方的になりすぎないように、「退職する気持ちは決まっているけれど、退職の時期や引継ぎの仕方などについては相談させて欲しい」、という姿勢は大事かもしれません。

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――なるほど。なるべく、トラブルにならず穏便に退職した方がいいですもんね。

円満退社を目指す場合に大事なことの一つが、社内規定を遵守するということです。法的には退職の告知は2週間前ですが、社内規定だと1カ月やそれ以上前というところも多いです。お世話になった会社に対して立つ鳥跡を濁さずということを考えると、社内規定は守った方が良いと思います。

――なるほど。「引き継ぎはしっかりします」など、辞める側も支援する方が円満に退社しやすくなるんですか?

そうですね。引継ぎリストのようなものをあらかじめ準備しておいて、退職の意向を申し出る時やその後の話し合いの中で自発的に提示できると良いかもしれません。具体的には、どの案件を・いつまでに・誰に引き継ぐか等、A4一枚程度の簡単なものでも良いと思います。

――自分がいなくなっても困らないようにするのが、大事なんですね。

そうですね。突然退職意向を伝えられる側も、感情的になかなかすぐには納得できないということもあるかもしれません。何度も話し合いを重ね、自分が退職した後のことも考えて引継ぎリストなどを提示する中で、次第に理解を得られると良いなと思います。

多くの場合、退職に関する話し合いは1~2回ではまとまらず、5、6回は行う覚悟が必要です。我慢比べのようなところがあり、時間もかかり、精神的にも疲労度が高いと思います。ただ、最初からそういうものだと認識しておけば、精神的な負担を必要以上に負わずに済むかもしれません。また、強力な慰留にひるんで転職を諦める方もいらっしゃいます。しかし、一旦退職の意思を表明した社員に関しては見る目が変わる会社もあります。結果的に残ってもハッピーでないケースの方が多いと思われます。退職すると決めた以上は強い意志で乗り切ることも大事です。逆に言えば、次に行く会社の内定を応諾する時には、きっちり現職企業を退職するという覚悟の上で回答することが重要です。

――本日はありがとうございました。


  • 西尾理子さん
  • (プロフィール)

    西尾理子

    米国CCE,Inc.認定 GCDF-JAPAN キャリアカウンセラー
    国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16199095)

    2004年に株式会社リクルートエイブリック(現・リクルートキャリア)に転職し、主にIT業界出身者、第二新卒の方のキャリアチェンジの転職支援を担当しながら、支社や海外事業の立上げに参画。その後サーチ部門にて、採用企業と転職希望者の双方を担当しながら、主にエグゼクティブ、エンジニア向けのスカウト型支援を担当。外資企業の日本進出に伴うスタートアップ人材の採用支援なども手掛ける。
    2010年からは株式会社プロコミットにて、ベンチャー・スタートアップへの転職支援に従事。2017年に独立。

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