第20回eo光寄席 出演者および演目

開口一番は、笑福亭喬路(しょうふくていきょうじ)さん
兵庫県姫路市出身。28歳のホープ。落語とは縁がない中高生時代だったが、関西学院大学で落語研究会に勧誘され、櫻鶯亭天蝶(おうおうていてんちょう)を名乗る。学生ながらメキメキと力をつけ、第9回(2018年)学生落語王者決定戦で優勝。第17回(2020年)全日本学生落語選手権では決勝進出を果たす。ならばと2020年に七代目笑福亭松喬の門を叩く。2024年2月に年季明け。趣味は筋トレとサウナと、いかにも今時の若者らしい。型にはまらぬフレッシュな話芸を。
演目は『看板のピン』
古典落語のひとつ。サイコロ賭博の話。賭場の親分が、外に出たサイコロの目にワザと賭けさせて、そのサイコロを片付け、本来のサイコロはこちらと、子分の掛け金を全て巻き上げる。その様子を見た、ある男が真似ようとするのだが…

二番手は、林家染吉(はやしやそめきち)さん
2025年「第11回上方落語若手噺家グランプリ」では古典「高台寺」を大熱演。見事に優勝を勝ち取った。桂文珍審査委員長も、その実力に太鼓判。上方の次代を担う噺家として一気に最前線に飛び出した。1981年三重県出身。2007年に林家染丸に入門。2011年の第1回繁昌亭ドリームジャンボコンテスト小枝杯6Rチャンピオン、翌年第2回大会でもチャンピオンに輝く。明るく爽やかな語り口と丁寧な所作。古典をこなしつつ、創作落語では現代的なセンスも光る。いま、目の離せない噺家の一席、ご期待ください。
演目は『狸の鯉』
こちらも古典。藪寺で子供にいじめられている子狸を助けた八五郎のところに、子狸が礼にやってくる。親狸から恩返しをしないのは人様にも劣る、狸の道にももとると諭されてやってきたという。恩返しをしなければ、勘当になるという。八五郎は、何にでも化けられるというので、鯉に化けてもらう。兄貴分のかみさんがお産をしたが乳の出が悪いというので、鯉を持って祝いに行こうと算段する。子狸の化けた鯉はちょっと生暖かく、ところどころに毛が残っている。さて、喜んだ兄貴分は早速、女房に食わせると支度を始める。あわてた八五郎は用事があるからと狸を見捨ててさっさと帰っていく。このままではまな板の鯉になってしまう…

中入り前は、露の団四郎 改メ 三代目 露の五郎(つゆのごろう)さん(2025年10月襲名予定)
2025年秋に三代目露の五郎を襲名。2026年1月に繁昌亭にて襲名披露公演を。1955年生まれ。1977年に上方落語の重鎮・二代目露の五郎兵衛に入門。出身は福岡。師匠に続き、怪談噺や「大阪にわか」(江戸時代に大阪で流行したこっけいを主とした即興の芝居)にも取り組み芸の幅を広げる。また、上方でただ一人、フニャフニャの顔面を生かした百面相も得意。関西独自の“情のある笑い”を追求し続ける名人気質。舞台では飄々(ひょうひょう)とした姿で現れ、気づけば観客を物語の世界に引き込んでいる。落語の「間」と「空気」を知り尽くした、まさに上方落語の至宝。心にしみる味わい深い一席を。
演目は『猫の災難』
元は上方落語の古典。三代目柳家小さんによって江戸落語に移されたため、上方と江戸ではサゲ(オチ)が異なる。長屋暮らしの熊五郎は酒が飲みたいが、金がない。そこを隣のおかみさんが通りがかる。彼女は猫の病気見舞いに大きな鯛をもらい、身を食べた残りの頭と尾を捨てに行くところだと言う。話を聞いた熊五郎はまだ食える部分があると、それを貰い受けたところに、兄貴分が尋ねてくる。たまたま身にあたる部分がザルで隠れていたため、立派な鯛が一尾あると勘違いした兄貴分はこの鯛で一杯飲もうと言う。酒を飲みたい熊五郎は、その誤解を解こうとせず、兄貴分は酒を買いに行ってしまう…

中入り後は、桂あやめ(かつらあやめ)さん
夙川高校を中退し1982年に五代目桂文枝の門をたたく。1994年に三代目桂あやめを襲名。1996年文化庁芸術祭優秀賞、2007年第一回繁昌亭奨励賞、2018年度神戸市文化奨励賞を受賞。「女に落語は出来ない」という壁に自作の落語で風穴を開けた。OL、女子高生、おばちゃん、嫁姑など身近な女性を主人公に数多く創作し、定期的に新作ネタ下ろしの会をも開催している。1999年に林家染雀との音曲漫才ユニット「姉様キングス」を結成。性別・キャリア・学歴などを超えてジェンダーフリーに活躍中。三味線とバラライカを手に小唄、都々逸、阿呆陀羅経などに時事ネタを折り込んだ舞台は「懐かしくて新しい」「古典的で過激」と大好評。
演目は、桂あやめ作『妙齢女子の微妙なところ』
桂あやめさんご自身の経験をもとに書き下ろされた創作落語を、ぜひご堪能ください。

大トリは、桂春団治(かつらはるだんじ)さん
上方落語界の大看板・桂春団治。華のある舞台姿と重厚な語り口で、観客を惹きつける。1948年大阪生まれ。1967年三代目春団治に入門。2018年四代目を襲名。古典を中心に滑稽噺から人情噺、芝居噺まで幅広くこなす。芝居仕立ての噺の表現力は圧巻のひとこと。大阪弁の美しさ、絶妙の間合い、人情の機微を余すところなく伝える名人芸を心ゆくまでお楽しみください。
演目は『夢の革財布〜芝浜より』
「芝浜」は三遊亭圓朝の作とされる古典落語。長屋暮らしの夫婦の愛情を細かく描いた人情噺の傑作。天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝は、うだつの上がらない裏長屋の貧乏暮し。大の酒好き失敗も多い。その日も女房に朝早く叩き起こされ、しぶしぶ芝の魚市場に仕入れに向かう。が、早すぎたせいで市場はまだ開いていない。誰もいない浜辺で顔を洗い、煙管を吹かせていて、足元に革の財布を見つける。開けてみると大金が。喜んで自宅に飛んで帰るが、十両盗むと首が飛ぶという時代に、さて大金が元で大騒ぎが始まる…





