更新日:2024/11/29
回線速度

「レイテンシ」とは?インターネット回線との関係性や改善方法を解説

「レイテンシ」とは?インターネット回線との関係性や改善方法を解説

インターネット回線について調べていると、「レイテンシ」という単語を目にすることがあるでしょう。レイテンシは通信速度と同様に、インターネット回線の快適性を比較するうえで重要な数値の一つです。

しかし、通信速度と比べるとあまり認知度が高くないため、どの程度を目安とすればよいか分からないという方も多いでしょう。

そこで本記事では、レイテンシのインターネット回線との関係性や、レイテンシの目安などを解説します。

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目次

レイテンシとは?

レイテンシとは英語の「Latency」のことで、「潜在」「潜伏」「待ち時間」などの意味を持ちます。

ネットワーク関係における「レイテンシ」という言葉は、通信の待ち時間や遅延時間を意味し、ユーザーが何らかの要求をしてから、応答が返されるまでの時間を指します。

ユーザーがパソコンやスマートフォンなどのコンピューターを使って、データ転送のような何らかの要求をする際、実際には次のような処理が行われています。

  1. データの転送を要求
  2. サーバーが要求を受け付ける
  3. サーバーからデータが転送される

この1〜3までの処理が行われるまでの時間が、レイテンシです。

例えば、Webサイトを閲覧する場合は、まずWebサイトを開くという要求がサーバーに送られ、サーバーが受け取った要求を処理してWebサイトの表示が開始されます。このサーバーに要求を送ってから、Webサイトの表示が始まるまでの時間をレイテンシという指標で表すのです。

また、レイテンシはそのほかにも、モニターなどの機器の応答速度を表す際にも用いられます。

レイテンシとインターネット回線の関係性

レイテンシとインターネット回線の関係性

インターネット回線を選ぶ際、多くの方はその回線やプランの通信速度をチェックします。また、オンラインゲームや高画質な動画視聴、リアルタイム配信などを楽しむ方は、ping値を気にする場合も多いでしょう。

通信速度 インターネット回線を通じてデータを送受信する速さのこと
ping値 ネットワークの通信の応答速度を表す数値

レイテンシは、通信速度やping値とともに、インターネット回線の性能を測る指標として用いられています。

レイテンシが低いということは、それだけユーザーの要求から応答までの待ち時間が短いということです。そのため、レイテンシが低い状態では、ユーザーはWebサイトやサービスをサクサク快適に利用できます。

なお、インターネットの主な用途がWebサイトの閲覧や動画視聴などであれば、レイテンシが高くても、通信速度が速ければ問題がないことがほとんどです。読み込みの開始には多少時間がかかるかもしれませんが、読み込み自体はスムーズに行われるので、不便を感じることは少ないでしょう。

一方、オンラインゲームを楽しむ場合は、通信速度だけではなく、レイテンシも重視したほうがよいとされています。オンラインゲームにおけるレイテンシは、ユーザーの操作がゲーム内での動きに反映されるまでの速さを表します。

そのため、レイテンシが低ければ、操作内容がゲーム内アクションにリアルタイムに反映され、より快適にゲームをプレイすることが可能です。反対に、レイテンシが高いと、遅延(ラグ)が発生して思うようなプレイができないことがあるでしょう。具体的には、攻撃のタイミングがずれたり、キャラクターが突然ワープしてしまったりします。

とくに、格闘ゲームやFPS(First Person Shooter:1人称視点のシューティングゲーム)のように、反応速度が求められるタイプのゲームでは、レイテンシが勝敗に影響する場合もあるとされています。

また、オンライン会議が頻繁にある場合も、レイテンシにこだわるのがおすすめです。レイテンシによって、動きや音声が会議画面に反映されるまでの時間が左右されるので、重要度は高いといえます。

レイテンシとping値の違い

レイテンシとping値は似たような文脈で登場することが多く、両者の違いが気になるという方も多いでしょう。

そもそもpingとは、ネットワーク機器の応答を調べるツールのことです。pingを実行することで得られた値は、サーバーから応答が返ってくるまでにかかった時間を表します。

冒頭でもお伝えしたとおり、レイテンシとはユーザーがサーバーに要求をしてから、応答が返されるまでの時間のことです。

そのため、一般的には、pingによって得られた値を、レイテンシを数値化したものとして扱います。つまり、多くの場合は、ping値がレイテンシの値としてみなされます。

レイテンシの目安

必要なレイテンシの値は、インターネットの用途によって異なります。

以下に、用途別にレイテンシの目安をまとめているので、インターネットの主な用途と照らし合わせてチェックしてみてください。

用途 レイテンシの目安
WebサイトやSNSの閲覧 30〜50ms
動画視聴 15〜30ms
Web会議 〜15ms
オンラインゲーム 〜15ms

主な用途がWebサイトやSNSの閲覧であれば、レイテンシは30〜50ms程度で事足ります。YouTubeなどで動画を視聴することが多い場合も、基本的には15〜30ms程度あれば問題ないでしょう。

一方、Web会議が多い場合や、オンラインゲームを楽しむ場合は、レイテンシは15ms以下に収めるほうが得策です。

なお、オンラインゲームに必要なレイテンシは、ゲームのジャンルによっても異なります。

例えば、一瞬の判断が勝敗を左右するオンライン対戦型のゲームであれば、レイテンシは10ms以内が望ましいでしょう。遅延を最小限に抑えたいのであれば、レイテンシを5ms以内に収めたいところです。

逆に、動きの激しくないゲームであれば、レイテンシが15msを超えていてもある程度は快適にプレイできます。

レイテンシの測定方法

通信速度の計測サービスでは、ping値やレイテンシを計測できるものが多くあります。

一般的には、レイテンシの計測=ping値の計測なので、どちらか一方が表示されるサービスなら問題ないでしょう。

ちなみに、Googleの計測サービスでは、要求から応答までの時間がping値ではなくレイテンシとして表示されます。利用方法も簡単で、Googleの検索ボックスに「スピードテスト」と入力して、上部に表示される「速度テストを実行」ボタンを押すだけでOKです。

レイテンシを改善する方法

レイテンシを改善する方法

レイテンシを改善する方法としては、次のようなものがあります。

  1. ルーターを再起動する
  2. 有線LAN接続に切り替える
  3. 新しい規格のLANケーブルに交換する
  4. 回線事業者を乗り換える

それぞれ、以下で詳しく解説しましょう。

ルーターを再起動する

ルーターを再起動することで、レイテンシが改善する場合があります。

ルーターは、ACアダプターをコンセントから抜き、5分ほど放置してから差し込み直すことで再起動可能です。

なお、最近は再起動ボタンを押すだけで再起動できるルーターも増えてきています。ルーター本体に再起動ボタンがある場合は、そちらの機能を使って再起動しましょう。

有線LAN接続に切り替える

無線LANでインターネットに接続している場合は、有線LAN接続に切り替えると通信速度が安定し、レイテンシ(ping値)も下がる可能性があります。

とくに、オンラインゲームやWeb会議など、レイテンシが求められるシーンでは、パソコンやゲーム機を有線で接続するのがおすすめです。通信速度も安定するため、大事な場面で画面が途切れたり、止まったりするリスクを低減できます。

新しい規格のLANケーブルに交換する

LANケーブルには「カテゴリー」と呼ばれる規格があり、新しい規格ほど性能が高く、レイテンシも下がりやすいと考えられます。古いLANケーブルを使い続けている場合は、交換も検討するとよいでしょう。

現在までに登場している規格は、以下のとおりです。

規格 最大通信速度 伝送帯域
CAT5 100Mbps 100MHz
CAT5e 1Gbps
CAT6 250MHz
CAT6A 10Gbps 500MHz
CAT7 600MHz
CAT7A 1000MHz
CAT8 40Gbps 2000MHz

LANケーブルのカテゴリーは「CAT+数字」の組み合わせで表され、数字が大きくなるほど新しくなります。基本的には、CAT6以上が推奨です。

規格が新しくなるほど最大通信速度も向上するため、レイテンシだけでなく通信速度の改善も期待できます。

ただし、インターネットの通信速度は契約しているプランや、LANケーブル以外の通信機器などによっても左右されます。例えば、最大通信速度が10Gbpsの規格を選んでも、ルーターが10ギガに対応していなければ、LANケーブル本来の性能を発揮することはできません。

回線事業者を乗り換える

レイテンシの数値は通信速度以上に、インターネット回線の品質の影響を受けます。そのため、レイテンシや通信速度に不満がある場合は、回線事業者の乗り換えも検討しましょう。

レイテンシを低くしたいなら、光回線がおすすめです。光回線とは、光ファイバーを利用したインターネット回線のことです。光回線は一度に大容量のデータを伝送可能で、電磁波の影響も受けないため高速かつ安定した通信を実現できます。

なお、インターネットを利用するためには、回線事業者とプロバイダーの両方と契約する必要があります。

回線事業者とは、通信設備を提供・運営する事業者のことです。一方、プロバイダーとは、回線事業者が提供する回線をインターネットに接続する事業者のことで、無線LAN機器のレンタルサービスやセキュリティーサービスなども提供します。

プロバイダーと回線事業者が一体のサービスであれば、それぞれ個別に契約する必要がなく、手続きの手間を軽減できます。

まとめ

ネットワーク関係におけるレイテンシとは、ユーザーの要求から応答までの時間のことです。レイテンシが低いほど応答までの待ち時間や遅延時間が短く、ユーザーはWebサイトやサービスを快適に利用できます。

とくに、オンラインゲームを楽しむ場合や、Web会議が多い場合は、通信速度だけでなくレイテンシの値もチェックしたいポイントです。レイテンシを下げたい場合は、回線事業者の乗り換えを検討するのもおすすめです。

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