電話線とLANケーブルの違いとは?見分け方や代用方法などを解説
電話線とLANケーブルは一見すると見分けがつきにくく、「どちらがどちらか分からない」とお困りの方も多いでしょう。
本記事では、電話線とLANケーブルの違いや見分け方について詳しく解説します。電話線・LANケーブル間の代用方法についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
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電話線とは
電話線とは、主に電話を使って通話をするために用いられるケーブルのことです。
電話線の先端には「モジュラージャック」と呼ばれるコネクタがついており、「モジュラーケーブル」とも呼ばれています。なお、LANケーブルの先端についているコネクタもモジュラージャックではありますが、慣習的にモジュラーケーブルといえば電話線のことを表します。
黒電話などを用いていたひと昔前の時代は、壁面から直接ケーブルが伸びている「ローゼット式」が主流でしたが、現在はほぼすべての電話線がモジュラージャック式に変わっています。
LANケーブルとは
LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略称で、自宅やオフィスのような限定された範囲でのネットワークを指します。LANケーブルとは、パソコンやタブレット、ルーターなどを接続し、ローカルエリアネットワークを構築するために用いるケーブルのことです。家庭やオフィスなど、限定した範囲でネットワーク環境を整える際に使用されます。
Wi-Fiなどの無線通信を用いてネットワークを構築する方法もありますが、一般的に有線LANは無線LANと比べて通信の安定性が高く、セキュリティー面でも安心です。そのため、通信速度や安全性を重視したい場合は、LANケーブルを用いた有線LAN接続が選ばれる傾向があります。
電話線とLANケーブルの違い・見分け方
電話線とLANケーブルの最も大きな違いは、その用途です。
電話線は主に電話機やFAXなどを利用するために用いられるのに対し、LANケーブルは主にルーターやパソコンなどの機器を繋げて、有線LANでインターネットに接続するために用いられます。なお、電話線はADSLなどの電話回線を使ったインターネット接続にも用いられますが、それらのサービスは現在はほぼ終了している状態です。
電話線とLANケーブルは一見似たような形状をしていますが、金属の芯の数で見分けることができます。電話線の金属の芯は2〜6本なのに対し、LANケーブルは8本です。
LANケーブルのほうが芯の数が多いのは、電話線よりも多くのデータを扱うためです。そのため、電話線も2本より4本、4本よりも6本というように、芯が多い方がより高性能になります。
また、ケーブルの太さにも違いがあります。電話線とLANケーブルの太さを比べてみると、電話線の方が細いことが分かるでしょう。
さらに、電話線とLANケーブルはコネクタの形状も異なります。前述の通り電話線とLANケーブルのコネクタはどちらもモジュラージャックと呼ばれるものですが、電話線にはRJ-11タイプ、LANケーブルには少し大きめのRJ-45タイプが使用されます。
電話線の種類
電話線は製品によって芯数や形状が異なり、いくつかの種類に分けられます。電話線を新しくする際は、それぞれの違いをしっかり把握しておくことが大切です。
芯数による違い
一般的な電話線は、電話機本体と壁のコンセントの接続に使われる「6極タイプ」と呼ばれるものです。6極タイプは、芯数の違いから「6極2芯」「6極4芯」「6極6芯」の3種類に分けられます。
6極2芯は、電話線のなかでも最も利用されているタイプです。一般家庭用の電話機に多く利用されています。
6極4芯は、事業所用の電話設備に多く利用されているタイプです。そのほか、警報機や多機能電話機にも用いられます。
6極6芯は、ドアホン対応電話機や、多機能な家庭用電話機に使用されているタイプです。6極6芯は6極2芯や6極4芯と互換性があるため幅広い用途に利用できますが、家電量販店で見かけることはほとんどないでしょう。
形状による違い
電話線の形状は、主に「スタンダードタイプ」と「フラットタイプ」の2種類に分けられます。
スタンダードタイプは、一般的な丸い形状のケーブルです。耐久性に優れ、ノイズにも強いという特徴があります。
一方、フラットタイプは、厚みが1mm前後の平らな形状のケーブルです。平たいので狭い場所にも配線しやすいのがメリットです。また、スタンダードタイプと比べて高さがないのでつまずきにくく、踏みつけた場合の違和感もほとんどありません。
また、そのほかにもノイズを吸収する筒状の部品がついたコア付きタイプや、収納ケースが一体となった巻き取り式タイプなど、便利な製品も市販されています。
LANケーブルの種類
電話線と同様に、LANケーブルにもいくつか種類があります。LANケーブルのタイプを決めるのは、主に「規格」「構造」「形状」「結線」の4つです。
LANケーブルを新しくする際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
規格による違い
LANケーブルには「カテゴリー」と呼ばれる規格があり、「CAT5」や「CAT7」のように数字で表されます。LANケーブルは規格によって最大通信速度や伝送帯域が異なるので、利用環境に合わせて選ぶことが大切です。
規格 | 最大通信速度 | 伝送帯域 |
---|---|---|
CAT5 | 100Mbps | 100MHz |
CAT5e | 1Gbps | |
CAT6 | 250MHz | |
CAT6A | 10Gbps | 500MHz |
CAT7 | 600MHz | |
CAT7A | 1000MHz | |
CAT8 | 40Gbps | 2000MHz |
最大通信速度とは、ネットワークの通信速度における理論上の最大値のことです。上記のとおり、カテゴリーの数字が大きくなるほど最大通信速度が速くなり、快適なインターネット環境を構築できるようになります。
ただし、インターネットの通信速度は契約しているプランや使用しているデバイスによっても左右されます。例えばLANケーブルの規格がCAT7(最大通信速度:10Gbps)でも、契約しているプランが1Gbpsの場合、理論上の最大通信速度は1Gbpsです。
一方、伝送帯域とは、一定時間内にデータを伝送することができる帯域幅のことを指します。この範囲が広いほどデータ転送能力が高く、一度に多くのデータを送受信できるのでデータ通信の速度が向上します。伝送帯域もカテゴリーの数字が大きくなるほど性能が上がるため、通信速度にこだわりたい場合は最大通信速度と併せてチェックするとよいでしょう。
構造による違い
LANケーブルは、その構造により「単線タイプ」と「より線タイプ」に分けられます。
単線タイプは、1芯が1本の銅線となっています。安定した通信が可能ですが、ケーブルが固く、取り回しが悪いのがデメリットです。
一方、より線タイプは1芯が7本の細い銅線で構成されています。柔らかいのでケーブルの取り回しがしやすいですが、単線と比べると通信の安定性は低くなります。
形状による違い
LANケーブルの形状は、電話線と同じく「スタンダードタイプ」と「フラットタイプ」の2種類に分けられます。
スタンダードタイプは電話線と同じく、一般的な丸形の形状をしたケーブルです。同じくフラットタイプは平型の薄い形状のケーブルを指し、カーペット下や壁際、ドアの隙間などの配線に適していますが、ノイズに弱いのが難点です。
そのほか、LANケーブルには通常よりも太さが細く、取り回しがしやすいタイプも市販されています。また、電話線と同様、コア付きタイプや巻取り式タイプもあるので、必要に応じて活用しましょう。
結線による違い
LANケーブルは結線の違いにより、「ストレートケーブル」と「クロスケーブル」の2種類に分けられます。
ストレートケーブルの用途は、ルーターやパソコンなどの機器を接続することです。つまり、家の中でLANを構築し、インターネットに接続するためには通常ストレートケーブルが用いられます。
一方、クロスケーブルはパソコン同士を直接接続してデータを転送する場合などに用いられるもので、通常はあまり使用されません。
電話線とLANケーブルを互いに代用することは可能?
電話線は音声だけでなくデータも伝送できるため、「LANケーブルとして代用できないか?」と考える人もいるでしょう。しかし、電話線をLANケーブルとして代用することはできません。
一方、電話線がない場合に、LANケーブルを電話線として代用することは可能です。ただし、電話線とLANケーブルはコネクタの規格が異なるので、変換アダプターを用意する必要があります。
まとめ
電話線とLANケーブルは主な用途が異なり、金属の芯の数やケーブルの太さ、コネクタの大きさなどで見分けることが可能です。電話線の芯数は2〜6本でケーブルは比較的細く、コネクタもLANケーブルと比べると小さめです。一方、LANケーブルの芯数は8本でケーブルは比較的太く、コネクタにはやや大きめのタイプが使用されています。
また、電話線は芯数や形状によりいくつかのタイプに分けられます。LANケーブルも規格や形状、構造などの違いによりさまざまな製品が市販されているので、利用環境に合わせて選ぶことが大切です。
なお、電話線は電話回線を用いたインターネットサービスでも用いられますが、そうしたサービスはほとんど終了している状態です。電話回線を用いたインターネットサービスからの乗り換えや、新しくインターネット回線を契約する場合は、現在主流となっている光回線がおすすめです。
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